こんにちは、すきマッチです。
今回は通所介護計画書についての記事を書いていきたいと思います。
通所介護計画書とは、デイサービスで提供されるケアを計画的かつ適切に行う上で必要な計画です。
制度上でも作成が義務付けられており、どこかやらされている感が強くなってしまいがちなものです。
しかし、計画書がなぜ必要であり、そのように作成しなければならないのか・・・
そのあたりを「理解」して「実践」できている事業所が少ないと感じています。
生活相談員はもちろん、デイサービスに係るスタッフやご利用者やご家族にも知ってもらいたい内容になっています。
最後までお付き合いください!
目次
通所介護計画とは
通所介護計画とは、通所介護(デイサービス)でどのような目標(課題)をもって、目標に対してどのようなプログラムを提供するか、計画したものです。
窮屈な言い方になりましたが、ご利用者の”デイサービスを利用する目的”を明確に表し、デイサービスが”ご利用者の「目的」のために提供するサービス”を約束するものです。
多くは生活相談員が作成していると思いますが、制度上は「管理者」が作成するものです。
作成にあたっては、「ご利用者と家族」「生活相談員」をはじめ、「介護士」「看護師」「理学療法士」などのご本人とデイサービスのすべての職種が協働する必要があります。
通所介護計画書はデイサービスのご利用中すべてのサービスに係ることであり、すべての職員が提供するケアに対する「理由」を理解するために協力する必要になります。
色々な人が関わって作成するのは、適切なサービスを提供するには様々な視点が必要だからです。
また、介護保険制度上でも必須であり「通所介護計画書」がなければ介護保険サービスを提供してはいけません。
通所介護計画の内容
では、通所介護計画書の内容はどのようなものなのか。
まずは下記のひな形をご覧ください。厚生労働省が推奨するひな形です。
リンクも貼っておきます。通所介護計画書
実際にこの計画書を使用する必要はないですが、だいたいどこもこんな感じです。
必要な項目は
参考
利用者の基本情報
作成日
本人(家族)の想い
目標(長期・短期)
提供サービスの内容
その他利用にあたって注意すべき点など
利用者との同意欄(日付)
上記の項目があれば大丈夫ですが、ケアを統一したり共有する意味で必要な項目を追加していきます。
市町村で独自のひな形を準備しているところもありますがので、保険者のHPを確認して下さい。
通所介護計画の作成の仕方
基本的にCMの作成する「ケアプラン」をもとに作成します。
ケアプランとは
デイサービスでは、ご利用者の担当CMが作成した「居宅サービス計画書」のことになります。
CMがご利用者やご家族に「アセスメント」をおこない、居宅生活を支えていく計画を立てたものです。
デイサービス以外にも、「訪問介護」「短期入所」「訪問看護」など居宅系の介護保険サービスや介護保険外サービスも組み込んで作成されています。
第1表から第7表まで構成されています。
デイサービスの計画書の作成で使用するのは、第1表~第3表です。
第1表 ご利用者の基本情報や支援計画の全体的な方針、ご利用者、ご家族、主治医の意見などが記載されています
第2表 ご利用者のニーズ、目標、具体的な支援の内容、それらを提供する事業所が記載されています
第3表 週単位のご利用者の予定が記載されています
参考までに第4表以降は
第4表 サービス担当者会議の要点をまとめて記載されています。
第5表 居宅介護支援経過が記載されています
第6表 月間のサービス利用表です(提供表)
第7表 サービスの自己負担など細かい部分が記載されています(提供表別表)
CMのケアプランは各事業所が計画を作成しやすいように、目標が包括的に作成されていることが多いです。
通所介護計画書の作成手順
通所介護計画書は「ケアプラン」を参考に作成するのですが、CMはデイサービスの提供するサービスをそこまで詳しく知っていません。
そこで、デイサービスの特色を反映する必要があります。
大まかな手順としては、こんな感じです。
参考
アセスメントとは、新規のご利用者には必須になりますし、既存のご利用者にも前回の目標のモニタリング、今後の生活で課題や目標がどのように変化したか、など聞き取ることはたくさんあります。
それらを持ってサービス担当者会議に参加して、ほかのサービス提供者との話し合いに臨みましょう。
目標の確認は、サービス担当者会議の中で行うのも良いでしょう。
サービスの内容とは、ご利用者の目標に対に対して、自分のデイサービスがどのようなサービスを提供することができるのか、を記載する必要があります。
そして完成した計画書を、ご利用者やその家族に説明を行い、同意してもらう必要があります。
この同意があって初めて介護保険としてのデイサービスのサービスを提供することができます。
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「個別ケア」を設定する
個別ケアとは、目標を達成する上で必要な「個別に提供するケア」です。
移動の仕方や移乗の方法など、介護方法も「個別ケア」になりえます。
個別ケアには提供する理由や背景の説明が必要になります。
ただ理由なく提供することは、介護者の自己満足や過介助につながる恐れがあるからです。
ICFでも述べたように、「している活動」に焦点をあてる上で、サービス提供の介助方法が「個別ケア」になることもあります。
例えば、車いすからトイレへの移乗を継続することを目標として設定する場合。
移乗の場面はすべて見守りで行い、自宅での移乗を再現することができます。
また、デイサービスの自席では車いすから椅子に移乗するようにすれば、訓練の回数が増やすことができます。
自宅でのトイレの手すりの位置や、移乗時の環境を再現することができればなお良しです。
このように、わざわざ特別な個別ケアをしなくても、提供するサービスでの介助が個別ケアとなります。
通所介護計画作成の注意点
通所介護計画書を作成するにあたって、いくつかの注意点があります。
目標の期間に注意
ケアプランは基本的に半年で更新されます。
しかし、介護保険の更新や区分変更申請などで期間がずれることがあります。
ケアプランの第2表に期間が記載されているのでしっかりと確認をしておきましょう。
また、ご利用者の状態に大きな変化があったり、利用するサービスの増減によりケアプランが更新されることがあります。
このような場合は、基本的に通所介護計画書も新しく作成する必要があります。
しかし、保険者(市区町村)によっては、軽微な変更で更新する必要がないので確認が必要です。
事業所の提供するサービスを把握する
介護を始めて間もなく「計画書」を知った時の私の印象は、”ケアプランから引っ張ってきただけの形だけのもの”でした。
当時の施設は登録しているご利用者も多く、仕方のない部分もあったのかもしれません。
そこで、より良い計画書を作成するには、「自身の事業所が提供するサービス」「自身の職種が提供できるサービス」を把握しておかなければなりません。
事業所の提供するサービスとは、「介護保険の通所介護サービス」
自身の職種が提供できるサービスとは、「介護職が提供するサービス」のことを指します。
よって、デイサービスで提供していない買い物の付き添いや通院送迎などは、ご利用者が実際に困っていてもデイサービスでの目標にはなりません。
また、リハビリを提供する施設ですが、「リハビリ」は機能訓練指導員しか提供できません。
リハビリの計画書は「個別機能訓練計画書」として計画します。
通所介護計画書はあくまで、通所介護全般にかかわる計画なのです。
例えば、通所介護計画に「転倒しないようにバランスの向上のリハビリを行う」という風に「リハビリ」としてしまうと介護職がサービスを提供することは出来ません。
そのような場合は、
通所介護計画書「転倒がないように生活したい」
個別機能訓練計画書「バランス向上のリハビリを行う」
という風になる。
本人や家族の希望をいれる
目標にも、サービス内容にも、本人やご家族の希望を入れる必要があります。
ケアプランに記載してありますが、アセスメントをして「生の声」を聞き出して入れましょう。
そこで注意点は、「できること」「できないこと」をしっかりと説明する必要があります。
あくまで「介護保険」であり「通所介護」であることを理解していただきます。
ご利用者もご家族も制度を知らない事がほとんどです。
変な期待を持たせてしまったり、誤解を招く可能性があるのでできるだけ丁寧にわかりやすく説明します。
担当者が制度を理解し、説明できることが理想ですが相談員や管理職に任せてもらっても大丈夫です。
これができればかなり良い通所介護計画書になっているでしょう。
課題(目標)の優先順位
ご利用者の課題には優先順位があります。
利用者の希望が1番です。客観的な課題よりもご利用者の希望を優先しましょう。
その上で
①命・生活の維持 ②ADL ③参加
という順番があります。
しかし、ICFでも述べたようにデイサービスでは①の領域に提供するケアは多くありません。
転倒や転落のリスク、認知症によるBPSDが自身や周りに影響を及ぼす場合ぐらいでしょうか。
ですので、ほとんどが②⇒③の順番になります。
しかし、優先順位があるからと機械的に説明するのでなく、ご利用者に納得の上で優先すべき課題を見据えてもらいましょう。
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その他伝えたいこと
通所介護の利用理由をよく聞く。
何のためにデイサービスを利用しているのか、どのような生活を見据えて利用しているのか。を聞き出しておくと目標や課題が見つかりやすくなります。
個別に引っ張られない
上記でも述べたように、通所介護計画書は「介護職」の計画書です。デイサービスに来る理由が「リハビリ」であってもそこに引っ張られないようにします。
コツは、ご利用者がリハビリをする理由を理解することです。
生活を見る視点の違い
生活を見ることの最大のメリットはご利用者が普段「している活動」を知るためです。
生活歴や居宅の状況も大事ですが、まずはしている活動を知ることに力を注いでください。
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本人が希望するその目的まで必要
…散歩を継続したい⇒リハビリのため?近所付き合いの為?望んでいることが可能か?
手段と目的を分けて考える必要があります。
活動と参加が通所計画書、心身機能が個別機能訓練計画書
ICFの記事でも触れましたが、介護職は活動と参加、特にしている活動のスペシャリストになりましょう。
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その他簡単に
・できないことをできるようにという考え方は×
・今できることを継続できるように
・今できることでさらに良い生活を送るためにアドバイス
・現状の生活様式でのリスクの有無
通所介護計画の目標の立て方
ご利用者にアセスメントを行っても、なかなかうまくいかないことも多いでしょう。
ですので、色々と聞いたけど、結局ケアプランから考えるほうが手っ取り早いとなってしまいます。
そこで、私が目標を立てる際のちょっとしたポイントをお伝えします。
ポイント
自立支援の考え方
自己判断・自己決定・自己選択を促す
特に認知症の方はこれ
社会参加への促し
役割→自己肯定感
自立支援の考え方
ご利用者にとっての「自立支援」とは何か、を考えます。
介護の本質的な問題です。参考になる記事を貼っておきます。
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自己判断・自己決定・自己選択を促す
先の自立支援と関係が深いのですが、認知症の方には「自己」で決めることも大きな支援になります。
全てを選択してもらうのは難しいでしょうが、事業所の中で「どんな選択肢があるのか」「どこまで選択してもらえるのか」などを日頃から考えることで、提供することができます。
社会参加への促し
ご利用者にとっての「社会参加」とはなにかを考えましょう。
外に出て、コミュニティに参加したり、近所づきあいだけが社会参加ではありません。
移動が車椅子の方や自身の力だけでは外出できない人にとっての「社会参加」
ほぼ寝たきりの人にとっての「社会参加」とはなんなのか、を考えてみてください。
役割→自己肯定感
「役割」を見つけることも「社会参加」です。
ご利用者を取り巻く生活の中で「役割」を見つけたり、継続することも立派な目標になります。
※はじめに見つかる課題は結構レベルが高い可能性あり。
課題を解決するために小刻みに目標を達成していく感じがいいでしょう。PDCAで小さな課題をつぶしていくイメージです。
また、半年、3ヶ月で達成ができる目標をたてなければなりません。目標が高すぎても低すぎてもダメです。
モニタリング
最後にモニタリングの説明です。
モニタリングとは、目標に対する「経過観察」です。
ご利用者と立てた「通所介護計画書」が機能しているか、ご利用者の目標達成に向けて進んでいるかを評価します。
さらに、目標に沿ってケアが提供できているのか、目標達成に近づいているか、目標が高すぎないか(低すぎないか)、新たな課題はないか、などを客観的に評価します。
場合によっては、ご利用者自身が目標に対してどうのように感じているか(上記のような角度から)、を主観的に評価してもらってもいいでしょう。
どんなにいい計画を立てても、評価をして振り返ることをしないと効果を実感できません。
ご利用者がデイサービスを利用する限り、PDCAのサイクルで目標を改善する必要があります。
「評価」と簡単にいいましたが、考え方によっては難しいです。
詳しくは別の記事で説明したいと思いますが、評価方法を決めることがモニタリングをする上で大切になります。
目に見えることを評価にするのか、回数を数えるなどして数字で表して評価するのか・・・目標を決めるときに評価の方法も決めておきましょう。
しっかりとしたモニタリングをすることで、サービス担当者会議での発言が容易になります。
まとめ
いかがだったでしょうか?
少し長くなってしまいましたが、通所介護計画書について書いてみました。
なんとなく作成している生活相談員の方、説明もなく受け取っていたご家族の方は今一度、デイサービスのサービスを確認してください。
利用者負担は1割でそこまで高くない料金ですが、双方ともに満足できるサービスを提供できることが理想的になります。
少しでも皆さんの参考になれば幸いです。
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