こんにちは、すきマッチです。
介護施設は1年間で行わなければいけない"必須研修"が多いです。
介護サービスの種類によって研修内容は若干変わります。
詳しく確認したい方はこちらをご覧ください。
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必須研修のうちの一つ「高齢者虐待防止関連法を含む虐待防止に関する研修」について記載します。
個人ワークやグループワークも入れながら、そのまま研修に使えるようになっています。
コピーだけして研修で使っていただいてもOKですw
それでは早速行きましょう。
目次
『介護保険の理念』の確認
虐待研修では必ず振り返りたいのがこの『介護保険の理念』です。(逆にこんな時しか振り返るときがないですよね…(-_-;))
読むのがしんどい方は赤文字だけ見てください。
参考
「この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする」
ここでいう"自立"とはどういう意味でしょうか。
自立とは、生活主体者として生きる行為のことです。
それが例え『介護が必要であっても』です。
より具体的にすると、介護が必要な状態であっても自分で決める(自己決定権)を行使することです。
例えばご利用者で「私は30分かけて自分で洋服を着ることより、介助を受けて5分で着替え、残りの時間で社会参加をしたい」と考えるならそれを尊重すべきです。
よくある勘違いとして「介護は自立支援だから、できることは自分でしてもらわないといけない」という考えに固執することです。
介護保険法における"自立支援"はリハビリの要素よりも、自分で決定できる(自己決定)ように支援することなんです。
職員の虐待につながる考え方としては、
「これだけやってあげたのに…」
「あの利用者さん全然感謝心がない…」
「ほんとにわがままな人だ…」
というものです。
この考え方は"介護者依存"を生む考え方です。
介護保険における"自立"を支援する考えからかけ離れています。
職員皆が"自立支援"の考え方を共有できていたら虐待は起こりにくくなります。
ここを再度確認しておきましょう。
権利擁護
次に"権利擁護"という言葉です。
何の権利かというと、人としての権利、いわゆる人権です。
権利擁護とは、『本人が自らの意思を表明するよう支援しその意志の実現を権利として本人に代わって擁護すること』です。
権利擁護にはパターナリズムに注意
権利擁護にはパターナリズムに注意が必要です。
パターナリズムとは、強い立場にある者が、弱い立場にある者の利益のためだとして、本人の意志は問わずに介入・干渉・支援することです。
※パターナリズムについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
例えば、「〇〇さん、私がしておくから座っていてください。危ないですから」とご本人が望んでいないのに介入してしまうことです。
職員は、無意識にこのような発言をしてしまうことがあるかと思います。
そうならないためには"説明"と"同意"に尽きます。
やはり基本は大事ですね。
介護保険制度と権利擁護
介護保険ができてから権利擁護の制度もいろいろできました。
- 苦情解決システム
- 身体拘束ゼロ作戦⇒高齢者虐待防止法へ
- 第三者委員(社会福祉法人)
- 認知症高齢者の権利擁護
- 日常生活自立支援事業
- 成年後見制度
等です。
それだけ、この権利擁護が必要でかつ難しいことがわかります。
介護施設で虐待はなぜ起こるのか
介護施設で虐待がなぜ起こるのか、その理由を4つにまとめてみました。
対人援助の基本を忘れている(知っていない・わかっていない)
「私は利用者さんに~してあげている、感謝されてあたりまえ」という考え方です。
パターナリズムになった介護をしてしまっている方はこのような考え方になってしまいます。
また、「何を言ってるんだ!そんなこと施設で無理に決まっている」とか、
「あの利用者はまわりのことを全然考えていない」という考え方もあります。
そのような考えが蓄積すると「職員の言うことを聞く利用者が良い利用者。逆に自己主張の強いわがままな利用者は悪い利用者」という思考になってしまいます。
これでは自立支援の考え方にも反してしまいます。
「あなたの(利用者さんの)意思を尊重したいのですが、この施設ではそれをかなえることができません。申し訳ありません。」という姿勢が必要です。
このような考え方はバイスティックの7原則のうちの一つ『非審判的な態度』です。
対人援助者はバイスティックの7原則がとても重要になりますので、再度確認しましょう。
バイスティックの7原則:
①個別化(利用者を個人として捉える)
一括りでは考えない!
②意図的な感情表出(利用者の感情表現を大切にする)
ご利用者が話を聞いてほしいときには感情を丁寧に聞いていく
③統制された情緒関与(援助者は自分の感情を自覚して吟味する)
④受容(受け止める)
「あなたはそう思われるんですね」という対応をする
⑤非審判的態度(利用者を一方的に非難しない)
⑥自己決定の原則(利用者の自己決定を促して尊重する)
最終決定をするのはご利用者。ただしご利用者の言いなりになるのとは違う
⑦秘密保持(秘密を保持して信頼感を醸成する)
バイスティックの7原則をわかりやすく具体的に説明しているブログ記事がありましたので、確認したい方はこちらをご覧ください。
対人援助の基本を実践できる環境が整っていない
人が足りない、設備ができていない、などで忙しい状態が続くと職員に余裕がなくなります。
職員はいつもセカセカとスピードやノルマを意識せざるを得なくなります。
このような環境では、まじめな人ほど疲弊してしまいます。
疲弊しきった職員はイライラしてしまい、不適切な言動や虐待につながってしまうことも考えられます。
管理職による「環境改善」は常に必要です。
※施設基準を参考にしましょう。
感情によって行動を制御できない
職員も人間です。
我慢できないときもあります。
どうしてもの場合は交代しましょう。
そしてヘルプを求めることができる、職場の人間関係を日頃から構築しておきましょう。
対人援助の基本を実践できない悩みを抱え込んでしまう
管理職は「組織内の『報・連・相』や『人材育成』仕組み・ルールはどうか」などを再度確認しましょう。
仕組みやルールが適切でなければその分ご利用者やご家族からクレームが来ます。
クレームが多くなるとその分職員の負担も蓄積されます。
仕組みやルールで解決できることはたくさんあるはずです。
職員が対人援助の基本が実践できる環境を整えましょう。
虐待の種類
虐待の種類は下記の6項目です。
- 身体的虐待
- 身体拘束
- 心理的虐待:脅しや侮辱などの言葉や態度、無視、嫌がらせ等によって精神的苦痛を与えること
- ネグレクト
- 性的虐待
- 経済的虐待
不適切なケア 【ワーク:「不適切なケア」ってなに?】
高齢者虐待の前段階として、「不適切なケア」が存在します。
配慮が不足した関わりはすべて「不適切なケア」と呼ばれます。
何気ないひと言や、必要だと思ってやった介助が「不適切なケア」にあたることもあります。
この「不適切なケア」の段階で改善に繋げていく働きかけを行うことが、虐待防止に繋がります。
下記に例を挙げてみます。
- ご本人や嫌がっているのに、ポータブルトイレやおむつを使用した
- 自分で食べられるのに、時間短縮のため食事の介助をした
- 寝ているのに、起こしてお風呂に入れた
- 本人も急いでいたので、急に車いすを動かした
- 急いでいたので猛スピードで車椅子を押した
- 狭かったので車いすを壁や椅子にあてながら移動した
- お部屋を片付けようと思い、ご本人のものを勝手に捨てた
- 無駄遣いするので、ご本人のお金を使えないようにした
- 転倒や転落を防ぐため、ベッドをサイドレールで囲った
たとえ必要なケアであっても、ご本人が嫌がっていることや、心が傷つけられることなら、「不適切なケア」になってしまいます。
安全や健康を守るために仕方のないことも多々あります。
介護を受けるご本人の思い通りにはいかないことも多いです。
しかし、だからこそ、「ご本人はどう思っているのか?」という視点を常に持って介護にあたることが大切です。
ちょっとした言葉が「不適切なケア」になることもあります。
- 聞かれたことに対して「何度も言ったでしょう」などとそっけない返答をする
- 相手が真剣に訴えたことに対して、軽口や冗談で返す
- 呼ばれたが忙しいので一時的に無視をする
- 「なぜできないの?」「いい加減にして!」など本人が萎縮するような言葉をぶつける
- 「リハビリしないと寝たきりになるよ」などと不安をあおる言葉をかける
- 認知症の方に「お母さん」と呼ばれて「お母さんじゃないよ」と否定する
普段のちょっとした会話が虐待につながってしまうこともあります。
普段からの会話は非常に重要です。
では、ここからワークに入ります。
まずは個人ワークからです。
個人ワーク:
①自施設の普段の業務で「これは不適切ケアではないか?」と思われることをあげる
②「不適切なケアにならないよう普段から自分が気を付けている事は何か?」を考える
この2項目に数分費やし、次にグループワークを行います。
グループワーク:
それぞれの意見を聞き「当事業所としてこんな取り組みや改善、意識ができるのではないか」をあげる
虐待研修は1年に2時間以上必要です。
ワークで皆がしっかり考えを出し合うには十分な時間があると思います。
自施設に落とし込む作業は必ず役立つと思いますので、職員皆に考えていただきましょう。
対人援助者に求められる基本姿勢
この業界にはいろいろな動機で働いている職員がいます。
「人と接する仕事が好き」、「感謝される仕事につきたかった」という方もおられるし、
「お金のため」、「「手っ取り早く資格がとれるから」という方もおられます。
下記の4項目はどんな動機で働いているにせよ、守らないとまともに働けない"基本中の基本"です。
対人援助者に必ず求められる姿勢です。
ポイント
①援助者の価値観を利用者に押し付けない
例:危ないから座っといて
これは"スピーチロック"と呼ばれる虐待にもあたります。
②説明と同意
声掛けの基本です。
③援助職者としての倫理観を守る
例:業務よりご利用者の福利を優先する。
ご利用者の秘密を守る。
研修を受けレベルアップする(ご利用者がより良い援助が受けれるよう) 等
④情緒的客観性を保つ
例:えこひいきをしない。
ユマニチュード
認知症のご利用者は様々な機能が低下し、他者に依存しなければならない状況になってしまいます。
しかし私たちは、ご利用者が最後の日まで尊厳をもって暮らし、その生涯を通じて“人間らしい”存在であり続けることを支えることが仕事です。
具体的にはケアを行う私たちがご利用者に「あなたの事を大切に思ってます」というメッセージを常に発信することが必要です。
その方法として"ユマニチュード"があります。
ユマニチュードを簡単にご紹介します。
ユマニチュードのテクニックは大きく3つに分けられます。
見る
ご利用者を見つめることです。
正面から水平に、近く、長く、みつめるテクニックです。
目があったら2秒以内に話しかけます。
そうすると自分が敵意を持っていないことを示すことができます。
相手を見ない、ということは「あなたは存在しない」というメッセージを送ることです。
人は他者から「見てもらえない」状態では生きていけません。
見ることで「あなたはここにいるのですよ」とメッセージを送り続けることがユマニチュードの原点です。
話しかけること
恋人、または大切な家族に話かけるように、優しく・歌うように・穏やかに話しかけます。
最も悪いことは相手を無視して話しかけないことです。
それは「あなたは存在しない」というメッセージを送ってしまっています。
「何を話しかけていいかわからない」という方は、自分が今、行っているケアの様子を言葉にすることをお勧めします。
ご利用者の名前を呼びながらケアの間、常に話しかけ続けます。
もちろん否定的な言葉は使わず、前向きな言葉を用いて行いましょう。
触れること
指先でつまんだり、握ったりせず、広い面積で、ゆっくりと、優しく、やわらかく、なでるように、包み込むように触ります。
そのような触り方で「優しさ」「喜び」「慈愛」「信頼」がケアを受ける人に伝わり、信頼関係が養える技術です。
ユマニチュードを理解するために必要な本のリンクを貼っておきます。
ご興味のある方は一読してみてください。
価格:2,200円 |
おわりに
いかがだったでしょうか。
このブログ記事は"介護業界で働く方への虐待防止研修のための資料"として書いてみました。
毎年行われる研修は作成するのも一苦労ですよね。
毎年同じ内容では職員も飽きてしまいます…。
このブログが研修資料作成にすこしでもお役立てできれば幸いです。
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