皆さんこんにちは、すきマッチです。
超高齢化社会になるに伴い、ますます注目の集まる介護業界ですが、今回は介護業界で働く人も未経験の人にも重要な資格「実務者研修」についてお話ししたいと思います。
正式名称は「介護福祉士実務者研修」といいます。
2016年度(2017年1月)の試験から実技試験が廃止され、実務者研修の修了が受験資格に追加されました。
ですので、介護のお仕事をされている方にはよく聞く資格ではないでしょうか。
メモ
未経験の方
家族の介護をされている方
これから国家資格「介護福祉士」を目指す方
介護職にこだわらず福祉の業界で働いていこうと考えている方
一層需要が高まっている「実務者研修」の受講を考えている方はご一読ください。
実務者研修とは
実務者研修について
「介護福祉士実務者研修」とは、2013年度にホームヘルパーの資格制度が廃止され、ホームヘルパー1級の後継資格として位置づけられました。(初任者研修はホームヘルパー2級の後継資格)
では、なぜホームヘルパー資格が廃止となったのでしょうか?
一言でいうと、国家資格である「介護福祉士」の専門性を向上させるためです。
・介護福祉士の受験資格のルートの1つである『実務経験ルート』を、
初任者研修→実務者研修(必須)→介護福祉士
という1つのルートに整備することで国家試験の受験者のレベルを一定以上に上げる。こと
・研修内容もレベルを上げて、2年以上の養成課程をもつ「介護福祉士養成校」と同等のレベルを到達目標としている。こと、
・今後の制度改正や多様化する利用者のニーズにこたえるべく新たな技術や知識、利用者の状態などを把握する能力も求められてくる。
と、以前のホームヘルパー1級よりも幅広く、専門性の高い内容となりました。
介護福祉士取得のためのルートの解説の記事を載せておきます。↓
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参考介護士として必須!?介護福祉士受験資格【国家資格介護福祉士になるには】
今回は、介護福祉士の国家試験の受験資格を説明していきます。 ルートが4つあるので、1つずつ説明していきたいと思います。 介護福祉士になるには 介護福祉士になる ...
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「初任者研修」との違い
受講に当たって受講要件はありません。
初任者研修では、介護に関する「基礎」を学びます。
実務者研修では、基礎的な内容に加え、より現場的な実践的な内容、医療的ケアについて学習していくことになります。
修了時間は初任者研修の130時間に対して、実務者研修では450時間の受講が必要になります。
初任者研修と実務者研修は講習内容が重複するところがありますので、初任者研修修了者には130時間の受講が免除されます。
研修の難しさという点は、
初任者研修を受講しているか
初任者研修の内容を理解しているか
によって大きく変わります。
受講要件ではないですが、初任者研修修了ぐらいの知識はある呈で授業が進むスクールもあります。
移動・移乗・食事・入浴などの「介護の基本」を理解しないうちに受講するとしんどい思いをするかもしれません。
また、時間的な大変さも考慮すべきです。
450時間を長期間にわたり研修が行われますので、働きながらの取得は難易度が高いといえるのではないでしょうか。
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参考介護士・介護福祉士の基礎的研修【初任者研修は実際に必要なのか?】
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実務者研修の費用について
費用については、資格の有無やスクールによって結構違ったりするので下記の「介護の資格最短net」さんのサイトで比較していただければと思います。
実務者研修費用
ざっくりですが、未経験・無資格で15万円ぐらい、初任者研修修了者で10万円ぐらい、介護職員基礎研修修了者で5万円ぐらいです。
実務者研修の講義内容
実務者研修は、持っている資格によって免除される科目があります。
受講時には確認しておきましょう。
免除科目と受講時間を下記の表にまとめてみました。
受講科目は最大20科目です。
簡単に各科目の内容に触れてみましょう。
人間の尊厳と自立(5時間)
尊厳の保持や自立支援、ノーマライゼーション、利用者のプライバシーの保護、権利擁護などの介護の基本的理念について学習します。
どれも基本的で介護の基本となる考え方です。しっかりと理解しましょう。
どれも重要ですが、特に自立支援は、日々の業務で意識してほしい部分です。
社会の理解Ⅰ(5時間)
介護保険制度について、目的、サービスの種類と内容、利用する方法、利用者の負担、施設(専門職)の役割を理解する。
介護保険制度を理解することで利用者へのアドバイスが可能となり、信頼関係を築きやすくなります。
また、自分の仕事がどういった目的でサービスを提供し、利用者がどのぐらいの負担で利用しているか、事業所に報酬が入るか、といった違う視点で業務を見ることができるようになります。
最低限、自分が提供しているサービスについて理解しましょう。
社会の理解Ⅱ(30時間)
・事業所規模ではなく「地域」や「社会」「家族」から福祉をとらえる
・社会保障制度について基本的な知識を習得する
・障碍者支援制度について理解し利用者に助言ができる
・成年後見制度、生活保護制度、その他介護・福祉に関連する制度の概要の理解
介護の基本Ⅰ(10時間)
・介護福祉士の法的な定義、業務範囲、義務などの理解
・個別ケア、ICF、リハビリ等の考え方を踏まえたうえで自立に向けた介護の展開する過程の理解
・介護福祉士の職業倫理、虐待に関する法の理解
介護の基本Ⅱ(20時間)
・利用者の生活を理解して、ニーズや課題を把握できる
・チームアプローチで職種や関係機関の役割、連携についての知識の習得
・事故や感染防止、リスク分析で介護における安全確保に関する知識の習得
・介護福祉士の心身の健康管理や労働安全対策に関する知識
コミュニケーション技術(20時間)
・利用者、家族とのコミュニケーション、相談援助に関する技術の習得
・援助関係の構築、ニーズや意欲を引き出すことができる
・利用者の機能に応じたコミュニケーション技術を選択できる
・記録や報告、会議などで情報共有できる
生活支援技術Ⅰ(20時間)
・生活支援におけるICFの意義を理解する
・ボディメカニクスを活用した介護の原則の理解
・介護の基本技術の習得(移動、移乗、食事、入浴、清潔保持、排泄、着脱、整容、口腔清潔と家事援助など)
・福祉用具などを活用し、利用者の住環境を整備する視点が備わる
生活支援技術Ⅱ(30時間)
・生活支援技術Ⅰで学んだ介護の基本の応用に加え、終末期の介護を含めそれぞれについて、利用者の状態に合わせた環境整備ができる視点
介護過程Ⅰ(20時間)
・介護過程の目的、意義、展開を理解している
・目標に沿った介護計画書の作成ができる
・チームで介護過程を展開する情報共有、職種の役割の理解
介護過程Ⅱ(25時間)
・情報収集から情報を統合と解釈していく
・介護計画の立案、実施、評価、改善(PDCA)を回すことができる
介護過程Ⅲ(45時間)
・利用者に応じた介護過程を実践的に展開できる
発達と老化の理解Ⅰ(10時間)
・老化に伴う心理的、身体的変化の特徴の理解とそれらが日常生活に与える影響の理解
発達と老化の理解Ⅱ(20時間)
・発達段階、発達課題など発達の定義を理解
・高齢者に多い症状・疾患と支援の注意点について理解
認知症の理解(10時間)
・認知症ケアの理念の理解
・認知症の生活上の障害・心理・行動を理解
・認知症の方やその家族とのかかわり方の基本を理解
認知症の理解Ⅱ(20時間)
・認知症の原因疾患の症状と特徴、治療などについて医学的知識として理解
・認知症の方の背景を見てその方に合わせた支援ができる
・地域における認知症のサポート体制の理解、活用ができる
障害の理解Ⅰ(10時間)
・障害福祉の理念を理解している
・障害による生活上の障害・心理・行動を理解
・障害者(児)やその家族とのかかわり方を理解
障害の理解Ⅱ(20時間)
・障害の種類や原因、特徴などについて医学的知識を有している
・障害者(児)にアセスメントし、その人に合わせた支援ができる
・地域におけるサポート体制の理解、活用ができる
こころとからだのしくみⅠ(20時間)
・介護に関係する身体の構造や機能に関する基本的な知識を有している
こころとからだのしくみⅡ(60時間)
・人間の基本的欲求、学習や記憶についての基本的な知識を有している
・人体の構造と機能についての基本的知識を有している
・からだのしくみ、心理、認知機能の知識を活かし、アセスメントや介助、他職種と連携ができる
医療的ケア(50時間)
・医療的ケアの基本的な知識を有している
・医療的ケアに関連する倫理や法制度を理解
・感染予防や安全管理についての基本的な知識を有している
以上になります。
科目がかなり多く、内容も濃いので簡単な説明にはなりましたが、なんとなく「こんなことするんだ。」
と感じていただければいいと思います。
実務者研修を受講したほうがいい理由
実務者研修を修了するとこんなメリットがあります。
メモ
1. サービス提供責任者になれる
2. 一部の医療行為ができる
3. 介護福祉士へのステップ
4. 給料が上がる?
以上が大きなメリットになります。
1. サービス提供責任者になれる
サービス提供責任者とは、訪問介護におけるまとめ役で、ヘルパーの調整、介護計画書の作成、ケアマネや家族と調整などを業務とした職種です。
2019年4月以降、実務経験が3年以上あるホームヘルパー2級と介護職員初任者研修修了者をサービス提供責任者として配置できなくなりました。
ですので、サービス提供責任者として実務者研修修了者に対する求人が増えています。
2. 一部の医療行為ができる
これはやりたくない。と思う方もいるかもしれませんが、一定の知識と技術を身に付けた証として認識しましょう。
具体的には、喀痰吸引と経口栄養が実施可能になります。
注意したいのが終了した時点で可能になるわけではなく、その後に
メモ
・実地研修を受講
・施設が登録事業として登録すること
・医師の指示のもと
・看護師等と連携する
といった条件が必要になります。
※喀痰吸引研修(実地研修)は第1号~3号に分かれており、研修の種類によって医療行為の対象が違うので注意してください。
3. 介護福祉士へのステップ
介護福祉士を受験するのに平成28年(2016年)以前は3年以上の実務経験があれば受験することができていました。
しかし、平成28年度からは「3年以上の実務経験」と「実務者研修の修了」が受験の条件になっています。
よって、働きながら国家資格を目指す「実務経験ルート」の実務者研修修了が必須となりました。
冒頭でも述べたように「介護職員の質の向上させるために」内容も一新されて、より介護福祉士の試験と関連の強いものになっています。
4. 給料が上がる?
実務者研修の修了者の給料が上がるのかについて解説します。
答えはYESです。
資格手当は事業所によりある、なしが分かれそうですが時給には差が出るところが多いようです。
また、サービス提供責任者になれば「手当」が付く事業所が多い傾向にあります。同じ事業所で働くヘルパー(実務者未修了)に比べると給与面ではかなり優遇されると思っていいでしょう。
このように実務者を受けたほうがいい理由はたくさんあります。むしろ受けない理由を探す方が難しいレベルです。
唯一「お金がかかる」があるかもしれませんが、取ってしまえば今よりも給料が上がる可能性が高く元を取れることは間違いないでしょう。
事業所によってはタダで受講させてもらえるところもあります。
介護の仕事を続けていきたいと考えている方は、是非実務者研修を受講してください。
まとめ
実務者研修についていろいろな面から解説をさせていただきました。
スキルアップやキャリアアップを考えたうえで、受講の可否を考えていただければと思います。
介護業界の発展のために優秀な人材となり、一緒に介護を盛り上げていけたらうれしいです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
介護事業所の必須研修
当ブログサイトは主に、介護施設で必要な"必須研修"について発信しています。
下記の表をご覧ください。
それぞれの研修についてブログを作成しています(※作成中の記事あり)
もしご興味があればこちらから覗いてみてください。
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