こんにちは、すきマッチです。
自立支援!
対人援助職(介護・リハビリ・ナース等)の方、またはそれに携わったことのある方なら一度は聞いたことがあるかと思います。
『自立支援』と聞いて、皆さまどんなイメージを持つでしょうか?
「あ~、できることは自分でできることはやってもらうって感じでしょ」というのは30%程度正解ですが、素人の考えです…
また、「学校で習ったけど忘れた」って方も多いと思います。
学生で『自立支援』を学んでも、実践経験がないのでなかなか理解するのが難しい。
この記事では、『自立支援』について掘り下げて考え、どのように実践していくかをかなり具体的に記載していきます。
楽しみながら読んでいただけると嬉しいです。
目次
『自立支援』を理解する前に『自立』を理解する
よくありがちな考えとして、冒頭でも述べたような「できないことができるようになることが自立」が完璧な正解ではない。
その考えだと、重度な障害者や後期高齢者など現状より回復の見込みが薄い方、現状維持がやっとな方は自立できないことになりませんか?
対人援助職に求められる『自立』とは、『介護が必要な状態になっても、自分の意思・決定で自分らしく生きること。』です。
よく『自立』の反対は?と聞かれると『介護』でしょ?!という方が多いけど、ここで言う『自立』の反対は『依存』になります。
障害者の側の自立観の例として、「私は2時間かけて自分で洋服を着ることよりも、介助を受けて5分で着替え、残りの時間で社会参加をしたい」と言っておられる方もいます。
では『自立』とはを具体的に正しく言うと、
- 『自己選択』自分で選ぶこと
- 『自己決定』自分で決めること
- 『自己遂行』自分で行うこと
となります。
そして、自立支援とは『自己選択を支援する』『自己決定を支援する』『自己遂行を支援する』ことです。
次に『自立支援』について具体的に考えます。
『自立支援』について
『自立支援』とは『自己選択を支援する』『自己決定を支援する』『自己遂行を支援する』。
ではそれぞれ、下記のようにさらに具体的にすることができます。
『自己選択への支援』:生活やケアの場面で、自然な形で『選択』の場面が提示できるように、選択肢を準備することが重要。
『自己決定への支援』:本人自ら『決める』機会を作る。
選択し決定するためには以下の作業が必要です。
- 何があるのか認識し覚えること
- それらの違いを理解・認識・覚えること
- 自分の好みと各品の特徴を比較すること
- 自分の好みに一番近いものを選出することが必要。
よって記憶力・認知力が低下している場合は選択数を少なくすることなども支援の一つになります。
『自己遂行への支援』:本人の障害に合わせた環境設定が必要。過介助にならない介助が必要。
例として
- 施設内の動線を考える。
- 伝い歩きでトイレまで行ける環境を設定する。
- 認知症の方に対する支援方法としては認識・理解がしやすい環境設定をする。張り紙を張ったりする。
- 声掛けの仕方:「どうされますか」「お手伝いできることはありますか」という声掛けをする。
いかがでしょうか。なんとなくイメージをつかんでいただけたでしょうか。
『自立支援』を取り入れたプログラム
『自立支援』をするための環境を整える
『自己選択を支援する』『自己決定を支援する』『自己遂行を支援する』をできるような環境を作るには下記のような工夫が必要です。
⦁ 過剰なお世話をしないケア
⦁ 対象者が自分から行動できる環境
⦁ 対象者同士の助け合いや相互作用を最大限に生かす雰囲気
⦁ 誰かの役にたつ機会や活躍の機会を作る
その結果
⦁ 自信が回復する
⦁ 自己効力感が上がる
⦁ 生きる活力が生まれる
⦁ 人や地域社会とのつながりを取り戻す
そうなると
⦁ 様々な意味での自立を取り戻す
⦁ 生活の質の向上
を促すことにつながります。
自立支援の目的は、対象者の生活機能の向上、実際の生活の幅が広がることです。
リハビリの効果が、体力測定値、片足立ちが○○秒になった、で終わるのではなく、それによって、夕飯の支度の間、立位が取れるようになった、というような実生活の広がりにつなげていくことが大切です。
まずはスタッフの意識を変えていきましょう。
『利用者さんが何かしようとするためにスタッフが察して行うことが最大のサービス』という考えは、利用者さんのやれることを奪い、自立を妨げている可能性があります。
ではどうすれば省でしょうか。
それにはまず『利用者さんと相談する』という姿勢が必要です。
スタッフの思いを先行させ、誘導しすぎないようにし、本人からの答えや反応を『待つ』姿勢でスタッフは働きかけます。
基本的には、本人が自宅でも行っている動作は本人にやってもらう、できないところをどのようにすればいいかを本人と一緒にやる、考えるという視点でかかわりを持つようにします。
すぐにやってあげるのではなく、本人にも考えてもらう、解決までのプロセスを共有するということが重要です。
各職種と本人が目標を共有し、「やってもらう」という依存から「やってみたい」という主体性への働きかけが必要です。
『自立支援』を取り入れたプログラム
施設内でできる自立支援のプログラムとしては、
- アルコール消毒を自分で行う
- バイタルはセルフで行う(可能な方)
- 服をハンガーにかける
- ドリンクは自分でとりにいく
- テレビは自分でつける
- 物理療法などの設定も自分で行う
等が考えられます。
後は、『役割プログラム』です。役割を持っていただくことで自己肯定感を刺激し、『自立』への働きかけにすることができます。
『家庭での役割』『地域での役割』を持っていただくこと、まずは施設内で『役割』を持っていただくことが重要です。
『役割』について具体的に知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
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セルフマネジメント(自己管理)の自立
セルフマネジメントの自立が自立支援の理想的なゴールになります。
利用者さんが自分の人生や生活を自ら楽しめることが目標です。
セルフマネジメントの例としては、
- バイタル値をみて、その日の活動量を自分で調節する
- 介護予防活動を自分自身で管理して行う
- 地域との付き合いを自分の判断で行う
- 自分のケア方針や活動方針が専門家の意見を聞いたうえで自分で決めて行う
- ADLの実施を、自分の能力を判断して自分で行えるものは自分で行う
- 金銭管理を自分の力で行う
- 自宅で行う体操を自分自身で時間を決めて行う
- 胃ろうの有無など自分の死に方を自分で決められる
おわりに
『自立支援』を施設に浸透させるには、全スタッフが『自立支援』の考えの下行動し、制度が求めるような事業所を追及することが必要です。
施設で『自立支援』という一つの方向に向かうことによって、スタッフにはやりがいができ、利用者さんは生き甲斐ができると確信しています。
それには『成果を共有する』ことが必要かと思います。
- 決まったことを行動に移し、成果を共有する
- 利用者さんの主体性が発揮されたことを共有する
- 誰かが、誰かのために、さりげなく心配りをしていたことを共有する
- 写真を撮り、新聞へ載せる
- 生活歴と活躍の場を結びつけるための話し合いをする
介護保険制度の基本理念にも「自立」を支援するようにと出てきます。(読むのがしんどい方は赤字だけでも!)
<介護保険制度の基本理念>
「この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする」
また、WHO(世界保健機構)も『介護=自立支援だ』と述べています。
この記事を読んでいただき、『自立支援』の考えを深めて、現場に活かせていただけると幸いです。
では、明日から引き続き施設の利用者さん、または患者さんの為、ともに頑張ってまいりましょう。
自立支援の概念について
介護事業所の必須研修
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