皆さんこんにちは、すきマッチです。
今回は、「介護過程」についてお話したいと思います。
皆さんは「介護過程」って聞いたことはありますか?
2009年度からの新カリキュラムですので、それ以降に「初任者研修」「実務者研修」などを受講した方は聞いたことがあるはずです。
介護過程とは、「介護職が作る介護計画書」のことです。
介護の現場で問題と言われる「ケアの統一」「指導の統一」を解決しうる可能性を秘めています。
私自身も「介護福祉士実務者研修教員研修」にて詳しく学んだばかりであり、現場に導入途中であることから完璧な内容での解説にはならないかもしれませんが、「可能性」を感じる介護過程を一緒に学んでいけたらと思います。
介護過程とは
介護過程とは、提供する介護を科学的思考と問題解決思考に基づいて説明していくものです。
意味が分かりませんね。
科学的思考とは、
前提として「介護は意図的に行う」もので「コツ」や「カン」だけではよい介護の理論が生まれてこない。
この「介護」を提供するのはなぜか、理論や根拠に基づいて説明できるようにしよう。
ということです。
問題解決思考とは、
利用者の直面している「問題」に関する情報収集、問題を解決するための計画、実行、評価をしていく思考です。
このような思考を持つことで、利用者様の抱える「問題」「課題」に一緒に向き合うことができるようになると考えます。
また、介護職の専門性を高めることにも繋がっていきます。
前振りが長くなりましたが、実務者研修では、「介護過程を展開する」といいます。
介護過程の展開とは、「情報収集」「解釈・関連付け・統合」「課題の明確化」「目標設定」「介護内容の決定」「介護の実施」「評価」といった一連の流れを、介護の専門家として展開し実践していくことで、利用者の生活のニーズにこたえるための「思考過程」です。
なんだか難しいですよね。
かみ砕くと、長年の「経験」や「カン」「センス」で片づけられていたケア内容を「根拠に基づき科学的」に「言語化」することでケアの標準化を図る思考方法です。
「根拠」という言葉を使うことに少し抵抗はありますが、政府が行った“全世代社会保障検討会議”の中間報告(2020年6月に取りまとめられた)”の内容の中で、介護分野でのビッグデータを整備する方針が明確に固められたとのことです。
政府は介護サービスの効果について正確に測定することで、高齢者の自立支援と認知症などの重度化を防ぐために「科学的な介護」を推進するつもりです。
今後はITテクノロジーやAIも活用される介護業界で、「根拠」というものを他の専門職に誇れるものにしていければ、という思いも込めてあえて使わせていただきます。
話を戻しますが、利用者の生活やQOL、環境を専門的視点でみることで、より実践的で利用者の生活に基づくケア内容に根拠を示し、提供するケア内容の理由を明確に言語化することができるのが、介護過程です。
介護過程の展開
介護過程の展開の手順は大きく分けて4つになります。
- アセスメント(情報収集)
- 介護計画の作成(目標・内容)
- 実施
- 評価
- (修正)
それぞれを簡単に解説していきたいと思います。
様式はインターネット等にありますので、使いやすいシートをお使いください。
様式が定まっておらず、事業所や法人によって違うことあるかもしれませんが、思考過程に変わりがないことを覚えておいてください。
- アセスメント
アセスメントとは、利用者を「知る」作業です。介護過程で1番重要な作業になります。
おそらくケアマネジャーにもらった情報だけでは介護過程を展開することはできません。介護職としての視点を磨き、常に意識する必要があります。
1番大事なことはご利用者の主観であり、ご利用者がどう思っているか、です。
アセスメントの中で、「人生観」や「日々の暮らし」も把握して、その人らしさの実現を支援します。
情報は質・量はもとより、今必要な情報を的確に集めることが求められます。
さらに、集めた情報を「介護計画の作成」につなげるために、解釈、関連付け、統合の作業を行っていいきます。
最初は難しく感じるかもしれませんが、ICF(国際生活機能分類)の視点で考えることでまとめやすくなります。
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利用者の全体像を把握し、課題(ニーズ)を見つける。そこに関係のある情報を身体的、精神的、環境的視点から見ることで客観的な視点で課題に向き合うことができます。
アセスメントは、介護過程の展開中に「足りない情報」があれば随時おこなっていきます。
また、聞き出すことだけがアセスメントではありません。普段の関わり合いから「観察」することも重要なアセスメントにあたります。
- 介護計画書の作成(目標・内容)
介護計画書とは、課題(ニーズ)を解決するために、「目標」とその達成に向けたケアの「内容」を決める作業です。
ここで「言語化」することで、職員共通のケアの「手順」「考え方」を作ることができます。
「目標」とは、利用者に「課題」を認識してもらい、その課題とどう付き合っていくか、どうしたいか。です。
ここでも利用者の主観が大事であり、目標とする生活を明確にイメージしてもらうように心がけます。
ケアの「内容」には、根拠(理由)が必要になります。
ここの「根拠」とは、「カン」や「センス」ではなく、利用者の「疾病」や「性格」、「生活」から
「なぜこの介護(ケア)を行うのかをしっかりと理由付け」することです。
例えば、
見守りは「何のために見守るのか」
一部介助は「どのように、なんのため、念のため?」
詳しい意図や手順、内容が求められます。
同じ病気、症状でもケアの内容は違います。経験や常識で先入観を持たないことが大切です。
ケアの内容の統一は、ケアの個別性を実現するキーワードです。
課題を見つけることについて、いくつかのポイントとルールがあります。
ポイントとして、困っていることだけが課題ではありません。
・今の生活の継続
・望む生活の実現
・状況の悪化の防止
・状況維持・改善に必要な支援
など、広い視点で考えるようにしましょう。
複数の課題がある場合は優先順位があります。
- 命
- ADL
- QOL(生活の質)
「健康状態で悪化するような点はないか」
「生活の自立、継続できない点はないか」
「その人らしく生活できていない点はないか」
といった感じです。
利用者の希望と、あなたの課題に違いがあった時は「優先順位」を基に解決すべき順番を話し合いましょう。
大きな目標、無理と思われるような目標でも、一緒に小さく刻むイメージです。
続いて、計画書の作成です。
課題と目標を基に作成していきます。
ここでもいくつかのルールがあります。
- 目標は実現可能なもの
- 主語は利用者
- 目標は「~できる」「~なる」というように達成したイメージができるような表現にする
- 援助内容・方法は“介護職”が行う手順・方法・留意点であること
注意すべきは最後の項目でしょうか。
介護職が作成する計画ですので、介護職ができる「行為」で作成しなければなりません。
「リハビリ」や「機能訓練」「医療行為」などの介護職ができない「行為」を計画に入れては実施できないので入れないように注意してください。
・実施・評価
計画書に決められたとおりの介護を実施します。
実施後の様子や変化を介護職だけでなく、関わる他職種で共有し連携することを意識してください。
評価については、他の計画書と同様一定期間のうちにおこないます。
評価方法は、動作のように見て判断できるものは現場での動作を評価する。
目に見えないものでも回数など数値化できることはするなど、客観的に見ても評価の結果にずれがないような方法を採用してください。
- (改善)
介護計画に決めた内容が思ったような結果にならず変更する。
課題をクリアしたので次の課題にチャレンジする。など計画を更新していく作業です。
基本的に評価時におこないますが、利用者の状況の大きな変化等がある場合は必要に応じて行ってください。
介護過程の可能性
ここまで介護過程について読んでいただき、多少の理解をしていただいたうえでどうでしょうか?
介護過程にはすごい可能性があると感じませんか。
まずは、「言語化」することで「ケアの標準」を共有できること
続いて疾患別ではなく、利用者を観て計画を立てるため「個別ケア」に対応ができる。
これだけで、スタッフのケアの統一・教育、利用者に対する適切なケアが可能になります。
また、介護過程の思考過程を身に付けることで、介護職としての視点や考え方がどんどんレベルアップします。
介護職の変化が一番効果が出ることかもしれません。
介護の理由を考えることで、疾病や麻痺の有無で区別することがなくなり、利用者に合わせたケアの技術の継承・引継ぎがスムーズになります。
現在勤務するデイサービスで導入中ですが、上記以外にもたくさんのいい変化を起こしてくれそうな予感がしています。
試行錯誤の上、考え方や導入の目的を理解してもらい事業所全体で導入の方向に向かっています。
しかし、介護過程を導入するには、スタッフ、指導者共にかなりの労力と知識が必要になります。
導入するまでに挫折することがあるかもしれません。
が、導入することでのメリットを考えると絶対にお勧めします。
一緒に頑張りましょう!!
最後に介護過程と提供サービスの相性について少しだけ書いてみたいと思います。
介護過程とは、生活の中で支援をすることです。
ですので、家での様子が見えづらい「デイサービス」との相性はいいとは言えません。
居宅系のサービスでも「訪問介護」は家への訪問ですので、計画から実施、評価までをしっかりと共有できれば効果を発揮しそうです。
逆に、サ高住や特養などの施設サービスのほうが、前後の変化や効果を実感しやすいことから相性がいいといえます。
夜勤や日勤、早出、遅出など勤務形態がバラバラなので情報共有が一番の課題でしょうか。
現在のデイサービスでの導入ですが、対象は認知症の方です。
介護拒否や帰宅願望、暴言がある利用者に認知症の原因疾患とその方の生活史や前日の様子などを基にアプローチしています。
実感としましては、スタッフの勉強する時間が増えたこと、ケアの方法が統一されていることで共通認識のもと意見交換ができています。
導入を始めて半年ですが、効果として色々なプラスの作用が感じられています。
まとめ
いかがでしょうか。
介護過程について、その導入方法の簡単な手順、介護過程の可能性について述べてきました。
皆様が介護について行き詰っていたり、介護過程を初めて知った方への何かのきっかけになればと思います。
今後も導入時の苦労やうまくいったことなどを記事などにして発信していきたいと考えています。
皆様からの意見やご要望もコメント欄にいただけると幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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