こんにちは、すきマッチです。
今回は座位バランス能力についてお伝えします。
よく理学療法士等が立てる目標に「座位バランス能力の向上」とありますが、はたして座位バランス能力とは何なのか?
この記事を読んでいただくことで、この問いに答えられるようになります。
座位バランス能力が低いと手や手指を上手に使うことができません。
例えばバランスクッションの上に座り食事を摂ろうとしてとして上手く食べられますか?
または、斜めになった椅子に座った状態で食事を食べられますか?
難しいですよね。
このように座位バランスが悪いと様々な問題が生じます。
では座位バランスについて、できるだけわかりやすく解説しますので最後まで読んでみてください。
目次
座位バランスの評価
座位バランスとは、簡単に言うと「座ったままでどれぐらい遠くの物を安全に取ることができるか」だと考えていただけるとわかりやすいかと思います。
それを意識しながら読み進めてください。
理学療法士等が座位バランスで見ている点はこの3つのポイントです。
参考
・静止姿勢
・動的姿勢(立ち直り反応)
・保護伸展反応
これを説明できる介護福祉士の方はなかなかいませんよ!
では一つづつご説明していきます。
静止姿勢
静止した状態での身体の傾きです。
前から・後ろから・右から・左からみていきます。
背中の曲がり、骨盤の傾き、体幹と頭の位置関係などをみていきます。
片麻痺の方は、非麻痺側に傾いている場合も多いです。
重心の位置と姿勢の崩れ具合を把握し、その原因を調べていきます。
原因として考えられるものを箇条書きにすると下記のようになります。
参考
・体幹(腹筋や背筋など)の筋力低下はないか
・筋の協調性※があるか
・感覚機能が働いていないので、怖さがあるのではないか
・過剰に力が入ってしまって緊張している筋肉はないか
・背骨や骨盤などの関節自体が固まっていないか
等を調べていきます。
※協調性とは:運動を円滑・正確に実行する能力のことです。
コップの水を飲むとき等、この協調性がなければこぼれてしまったり、顔にかかってしまったりします。
運動を円滑・正確に実行するには、
- それぞれの筋がどんな組み合わせで活動するか
- どんなタイミングで筋が活動するか
- どれくらいの強さで筋が収縮するか
- どれくらいの速さで筋が収縮するか
- 筋は縮みながら力を入れるのか、伸ばしながら力を入れるのか
これらが適切である必要があります。
静止した座位姿勢で身体が傾いている方のほとんどは、動作をしたときに崩れてしまいます。
まず最初に静止姿勢を評価していく必要があります。
動的姿勢(立ち直り反応)
前後・上下・左右の周囲に手を伸ばすことができるかをみます。
手を伸ばせる範囲を確認し、その時の重心の位置、または身体の使い方や身体の崩れなどから、体幹・上肢機能の協調性や筋力を見ます。
例を出します。
前下方へ手を伸ばす場合は、
・足の前方まで両手が届くと、足への荷重や体幹の固定保持能力は良好である。
・足まで重心を寄せられない場合は背筋群の柔軟性の不足、股関節の柔軟性の不足ではないか。
など考えます。
後方へ手を伸ばす場合は、
・骨盤が後傾し、体幹はしっかりひねることができ、背中をしっかり伸ばす、という複合動作ができていれば体幹筋群の協調性は良好である。
・できていない場合は3つの運動のどこが不足なのかを調べてみる必要がある。
など考えます。
上方へ手を伸ばす場合は、
・骨盤が前傾し、背中をしっかり伸ばすことができているなら腹筋群と伸筋群の協調性良好である。
・できなければ骨盤の動き、背筋、背骨の可動域のどこが不足なのかを調べる必要がある。
など考えます。
動的姿勢を説明するうえで必要なのが"立ち直り反応"です。
立ち直り反応とは、バランスを崩した時に筋力を使って頸部・体幹・手や足が重力や抵抗に抗して反応することをいいます。
つまり物をとろうと手を伸ばして、とったら元の座位姿勢に戻れるか、ということです。
具体的な評価ポイントとしては、
・体幹の筋力のみで立ち直れるか
・手の補助が必要か・
・頸部の反動を使っているか
などをしっかりみていく必要があります。
保護伸展反応
これは、立ち直り反応を超えて、咄嗟に手や足を支えに使えるかどうかというものです。
例えばあなたが「ドンッ」と誰かに背中を押されたとき、とっさにバランスをとろうと後ろに手が伸びますよね?
あれです。
座位バランスを崩すほどの強い外乱に対して反応が出現するかどうかも非常に重要です。
保護進展反応をみることで、立ち直り反応の強度と上肢の俊敏性を評価します。
ただし、許可をとらずにすると対象者は激怒しますし、転倒のリスクも高いです。
出てほしい反応を誘導
いかがでしょうか。
深掘りするときりがありませんが、ここまで知っていただけだけでも十分かと思います。
理学療法士等は、対象者の座位バランスがなぜ安定しないのか、
・神経系(立ち直り反応や感覚障害の有無など)
・筋骨格系(体幹筋の活動性など)
・環境(椅子の高さ、形状、人的環境など)
といった要素ごとに問題を抽出し、対象者のリハビリテーション目標に応じたプログラムを検討していきます。
"足りない部分を鍛える"という考え方もありますが、"どう補うか"という視点でアプローチする場合もあります。
そして"出てほしい反応を誘導する"運動を提供していきます。
それが最終的には「トイレ動作の自立」や「洗たく干しの自立」、「靴下の着脱の自立」などに繋がっていきます。
また応用を考えて実践する立位や歩行レベルでも同様な反応が出現しているか、どこが不足するかなど幅を広げて考えることもできます。
座位バランスに必要な筋肉
座位バランスに作用する筋肉は体幹の支持性を高める筋肉群で、主には脊柱起立筋(背筋)、腹直筋、腹横筋、内外腹斜筋(腹筋)が挙げられます。
座位は力を抜くと骨盤が後傾位となりやすく、脊柱起立筋がしっかり働くことで腰椎を前彎させ体幹を真っ直ぐに保つことができます。
また腹腔と呼ばれる横隔膜と腹筋群、骨盤で構成される空間の内圧を高め、体幹の支持性を高めるために働きます。
これら2つの筋群は拮抗して作用しており、どちらか片方の筋力が低下してしまうとバランスが崩れ姿勢に悪影響を与えてしまいます。
他にも、バランスをとるには頸部の筋力も大切となります。
座位バランスに必要な関節の可動域
座位姿勢で注意すべき点は骨盤の傾斜になります。
特に骨盤の後傾が強い場合には腰部への負担や場合によっては仙骨座りとなりやすいことがあります。
この骨盤を後傾にしないようにするには、背筋群や腹筋群に加えハムストリングスと呼ばれる股関節周囲筋の柔軟性が大切になります。
これらの筋肉は加齢に伴い硬くなりやすく腰痛や座骨神経痛などの要因にもなります。
おわりに
いかがだったでしょうか。
座位で行うレクリエーション活動では、座位における重心移動や下肢の支持性を高める「ボール蹴り」「輪投げ」「ボーリング」などがあります。
他にも、体幹のひねりや伸張を促す「棒体操」や「風船バレーボール」などもあります。
一つ、座位バランスを促すレクレーションをご紹介しますので参考までにこちらをご覧ください。
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これらのレクレーションでは集団で行う利点を活かし、盛り上がりながら座位バランス能力をアップさせることができます。
座位バランスは、日常生活の自立や安全確保、生活機能の維持・改善はもちろんのこと、対人交流や社会活動の拡大に向けて必要不可欠な要素です。
座位バランスの知識をいかし、より良いケアを追求していきましょう。
厚労省の資料でバランス能力の必要性が書かれたものがありましたので参考までにこちらに載せておきます。
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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