こんにちは、すきマッチです。
このシリーズでは、新人介護士さんに向けてケアの基本中の基本を解説していきます。
新人さんはもちろん、指導的な立場の方も指導の参考にしていただけると思います。
「食事」「口腔ケア」「更衣・入浴」「排泄」「コミュニケーション」「レクリエーション」「体操」「役割化」の8種類です。
最初の第1弾は、「食事介助」です。
食事介助は事故が多く、命に関わることも少なくありません。
あなた自身やご利用者を守るために、しっかりとした技術と知識を身につけてください。
少し長くなりますが、最後まで読んでいただけるとうれしいです。
目次
食事介助で一番大切なこと
食事介助で一番大切なことは、「食事を楽しんでもらうこと」です。
食事介助にはスキルや注意する点が多いです。しかし、「食べることを楽しんでもらう」ことを大切にしてもらいたいです。
食事介助が必要なご利用者は、食べたいものを食べることができなかったり、食べることが作業になってしまったりします。
おいしいものを私た食べることは幸せですよね。私たちは、食べたいものをおいしく食べることができます。
ご利用者も私たちと同じように、食べることを楽しむことで幸せを感じてもらえるようにしてください。
黙って介助せずに、おいしく感じてもらえるような話をしながら。
次に何を食べたいか、何を口に運ぶかを伝える。
いろいろな工夫をしてくださるとうれしいです。
食事介助の注意点
食事介助の準備!姿勢とご利用者の覚醒
食事介助にはたくさんの注意点があります。
介助の中でも「もっとも危険の多い」からです。これは必須で覚えてください。
介護事故の数では、転倒・転落についで2番目に多いですし、死亡に直結する事故が最も多いのです。
ご利用者の今後の人生を左右するかもしれない、重要なことです。しっかりと知識と技術を持ってケアに当たりましょう。
怖いことをいいましたが、知識と技術があればそこまで危険はともないません。
まず食事前に注意するのが、姿勢です。
イス(車椅子)に深く座り、体を起こしてもらいます。起こしすぎて前のめりにならないように。
あごを少し引いて、飲み込みやすいように食道の軌道を確保します。
あごが上がるとのどから食堂が一直線になってしまい、自分のタイミング以外でのどに食物が入ってしまいます。
足がしっかり地面についていることも重要です。食事に集中できるように、楽な姿勢をとるためです。
次に、ご利用者の覚醒状態や食事を摂るという気持ちに持っていくことです。
覚醒していなければ、喉をつめたりむせるリスクが高くなります。
認知症の方は、「食事を摂る」という気持ちになってもらうことでスムーズに食事に入ることができます。
食事介助と嚥下機能
食事の制限、形態(一口、刻み、ミキサー)、禁忌食材などに配慮を。
刻み食はパサパサで、ミキサー食なんかはおいしくないです。最近はまだましですが。
これらはあなたも食べてみることをお勧めします。
食事制限や禁忌食材は、病気のためにお医者さんから指示が出ているはずです。間違いのないように提供しましょう。
禁忌食材は、薬の効果を下げてしまったり、アレルギーなどが上げられます。
命に関わることにも繋がります。
コミュニケーションのとりづらい方は、嫌いな食べ物を把握しておくことも重要です。
食事形態もお医者さんからの指示が出ていますが、すべてのご利用者に指示が出ているわけではありません。
嚥下状態(咀嚼や飲み込みの状態)で現場で判断することもあります。
基本的には、嚥下機能の低下によって「一口→刻み→ミキサー(もっと分類はある)」と形態は変わっていきます。
ここで注意していただきたいことは、
ポイント
一度食事形態を下げると、再び上げることは相当困難になってしまうこと
食事は手を加えるほどにおいしくなくなること
食事形態をお医者さんの指示どおりにしても嚥下事故は起こるということ
食事形態を変えることは、「咀嚼や飲み込み」に必要な機能を使わなくていいようにすることです。
嚥下機能よりも栄養補が必要だからです。
しかし、一度使わなくなった機能を取り戻すことが大変なのは言うまでもありません。
お医者さんの指示以外で食事形態を考えるときは、「ご利用者の嚥下機能」を考えてあげてください。
食事に手を加えるほどおいしくなくなるのも簡単に想像ができるでしょう。
必要以上に手を加えることは、「おいしい食事」を奪ってしまうことにもなります。
最後に、お医者さんの指示どおりでも事故は起こります。
そこには介護技術ももちろんですが、ご利用者さんの状態、その状態を見極める職員の「目」、進行する機能低下などが複雑に絡み合うからです。
事故を起こさないために、必要な知識と技術を身につけるのです。
水分のとろみはどうでしょうか?
水分が固形物に近づくことで気管に流入してしまうことを防ぐことができるかもしれません。
しかし、とろみが強くなればより「固形物」に近くなり「飲み込む」力が必要になります。
のどにくっついてむせることに繋がったります。
食事形態同様、機能に合わせたとろみの強度にする必要があります。
特に水分のとろみは、一度使うと後戻りがしづらいのも現実です。
食事介助の知識や技術は、ご利用者の命と機能を守るために必要です。
ご利用者の機能を守るため、と誤った判断をしてしまわないために知識が必要です。
命を機能を守るため、適切な食事を摂取してもらう技術が必要です。
食事介助の方法
まだ食事自体が始まっていませんが、覚えておくべきことはまだまだたくさんあります。
次は実際に食事を摂ってもらうときの注意点を挙げていきましょう。
ポイント
食事を始めるときに
介助する方向
介助するスピード、タイミング、量
その他食事介助の注意点
食事を始めるときに
食事を始めるときは、ご利用者の口腔内をチェックしましょう。
入れ歯がしっかり入っているか、口の中の状態をチェックします。
口の中の状態とは、唾液が分泌されて口の中に水分を含んでいるかを確認してください。
食事前は、口腔体操などを行い唾液が分泌されるようにしていると思いますが、口腔体操ができないご利用者はお茶などを軽く口に含んでもらうのも良いでしょう。
食事介助が必要なご利用者は、私たちが思っている以上に口の中が乾燥しやすくなっています。
また、痰や粘り気のある唾液がある場合は事前に取り除いておきましょう。
介助する方向
続いては、食事介助をするときの職員の位置取りです。
理想は、ご利用者の利き腕側から介助することです。
普段に近い角度で口に食べ物を運ぶためです。
が、利き腕が違ったりする場合もあると思いますので、職員の利き腕が外側になりまわりこむように食事を運ぶ位置取りをとってください。
一番ダメなのは、正面から介助することです。
正面からスプーンやお箸で介助すると、思っているよりも奥に入ってしまいます。
スプーンで介助する場合は、口に入れた後に上の前歯に引っ掛けて食べ物を口の中に入れることは避けてください。
ご利用者がうまく口の中に食べ物を取り込めませんし、あごが上がってしまいます。あごが上がるとむせやすくなるので注意してください。
下唇にスプーンの背を当て、軽く下方向に押します。
上唇が丸まって食べ物を取り込んだら、水平方向に引き抜きます。
お箸の場合も同様に介助します。
介助するスピード、タイミング、量
介助するスピードやタイミングは利用者ごとに異なります。
こればっかりはコツなどより、ご利用者をしっかりと見ながらご利用者のペースで介助を行ってください。
食事介助は時間がかかるものです。
少ないスタッフで見守りをしなければならなかったり、次にすることがあるなど事情があるとは思いますが、
職員の事情で速いスピードで介助したり、2人同時に介助したりすると危険が跳ね上がります。
ほかの介護事故もそうですが、「大丈夫だろ」と気を抜いたときに多くなるものです。気をつけていただきたいです。
量に関しては「少なめ」です。
スプーンも小さめ、浅めで一口の量は多くなりすぎないようにしてください。
逆に少なすぎても飲み込みにくいので、注意が必要です。
食事介助は、見守りも大切です。
食べるのが早い、むせても次々口に入れる、姿勢が崩れている、口の中でずっとしがんでいる。などなど介助するまでもいかなくとも、見守りが必要なご利用者は多いです。
ご利用者自身で食べる場合は、使いやすい福祉用具も必要になるでしょう。
今は、食事介助用の福祉用具はたくさんあります。
参考までに下記の福祉用具を見てみてください。
その他食事介助の注意点
その他の注意点はたくさんありますが、やりがちな注意点を書いてみます。
勝手に混ぜるな!
これは絶対にやめてください。いわゆるどんぶりです。
ご利用者の意向ならばいいですが、時間の節約のためやご飯に味をつけるためといった職員目線でのどんぶりは辞めましょう。
虐待にもあたります。
認知症の方が「いつもやってるから」もダメです。食事の手順を忘れてしまっている可能性もあります。
生活歴や嗜好を理解して、それでも「どんぶりを好まれる」と判断した場合はOKです。
途中でやめるな!
これも当たり前なのですが、食事介助には人員を割いてください。
それだけの危険が伴います。
また、途中で辞められるご利用者の立場になってください。気持ちのいいものではないです。
人がいない、休憩を回せない、など理由はたくさんあると思います。
しかし、自分を介助している職員が他のご利用者のトイレ介助にいく…その後また自分の食介に来る。そんなの最悪です。
どうしても一時的に離れないといけに時は、しっかりと説明をして出来るだけ短時間にしましょう。
認知症の方やコミュニケーションが取りずらい方も同様です。
食事中にむせた場合
嚥下機能が落ちているご利用者はむせる危険性があります。
食事介助が必要なご利用者だけに限りません。
簡単なチェックシートで、ご利用者の嚥下状態を把握しておくことも必要です。
では、むせた場合の対処としてはどうすればいいのでしょうか。
今回は、吸引や救急搬送などではなく、あくまでむせたときの対処法です。
背中はたたかずに、やさしくさすりながら声をかけてください。
むせたときに背中をたたくと、気管に引っかかっている食べ物を下に落としてしまう可能性があります。
ですので、たたかずにやさしくさすりながら、
大きくゆっくりと咳をするように声掛けをしてください。
むせたときに、ご利用者は慌ててしまったり、周りに遠慮して咳を止めるようなことがあるかもしれません。
あなたが慌てずしっかりと、ゆっくり声掛けをしてください。
むせた後に、顔色が変わったり、呼吸が乱れているときはすぐに食事を中止して様子を見ましょう。
看護師と管理職への報告も忘れずに。
食欲がわかない方への工夫と水分摂取を増やす工夫
食欲がわかない方へはすっぱいものが効果的
ご利用者は、活動量が減っているので食事の時間に食欲がわかなかったり、意欲がわかないことがよくあります。
そのような時は、
・食事の準備を手伝ってもらう
・1時間ぐらい前に体操などを行い、活動量をあげる
・規則正しい生活をする
・視覚的にすっぱいものを提示し、唾液の分泌を促す
というような工夫をしてみてください。
すっぱいものを提示することは、すごく効果がありますが長い目で見る規則正しい生活や活動量を上げる工夫をしてください。
水分摂取を増やす工夫
ご利用者の中には、トイレに行くのが面倒だから水分をとりたがらない、脱水気味になるまで気づかないというような方がたくさんいます。
水分補給が少ない方は脱水症状以外に、血液がドロドロになり、脳梗塞や心筋梗塞につながることもあるので注意が必要です。
水分摂取を増やすためには、お茶など飲み物を提供するだけでなく、ゼリーやゼラチンなどで固めて提供することも有効です。
凝固剤によって解ける温度、固まる温度が違うので固めるものやご利用者の状態によって使い分けましょう。
ゼラチン:60℃ぐらいで溶け、20℃ぐらいで固まる。凝固後常温で溶けるので口の中に入れてもなかなか飲み込めない人には注意が必要
アガー:90℃以上で溶け、常温で固まる。常温では溶けないが、沸騰近くまで加熱する必要があるため、加熱により成分が変化したり壊れてしまうものには使用できない。
まとめ
いかがだったでしょうか。
食事介助の基礎について書かせていただきました。
細かい注意点や技術はもっとたくさんあるでしょうが、記事の辺りを抑えておけば大丈夫です。
また、最初に書いた、食事を楽しんでもらう事を大切にして頂けると嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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