こんにちは、すきマッチ(@sukimatchi)です。
認知症の増加数は年々増えてきています。
引用画像:コクミンドラッグ ブログ
僕は普段デイサービスで働いていますが、デイサービスにも認知症の利用者さんは増えてきた印象です。
認知症の利用者さんが増えたことにより、「帰宅願望」の強い利用者さんも増え、デイサービスの運営は悩みが増えてきました。
なぜならグループホームなどとは異なり、デイサービスは施錠ができなからです。
この記事では下記のような悩みを解決できるよう執筆しました。
もし認知症の利用者が施設を出ていき、事故にあったら施設の責任になるのか?
普段からどのようなケアを心がけておいたら良いか。
それでは早速見ていきましょう。
目次
デイサービスにおける認知症利用者の行方不明事故
利用者さんが施設から出ていき、事故に遭ったら施設の責任になるのか?
答えは、なります。
過去に発生した行方不明死亡事故の裁判で、過失と認定されています。
「福岡地裁平成28年9月9日判決」の事例を見てみましょう。
アルツハイマー型認知症のAさんは、玄関付近や家の周囲を徘徊したり、外出して戻れなくなって警察に保護されたことがあった。夫のBさんはAさんに徘徊がみられることなどを伝え、デイサービスを利用し始めた。デイサービスの正面出入口は施錠されておらず、人の出入りがあると鈴の音がなる自作の器具が設置されていた。非常口の方は、施錠されておらず、音が鳴る器具も設置されていなかった。
真冬のある日、Aさんはお昼過ぎに施設から出てしまい、行方不明となった。Aさんは、その日の午前中から強い帰宅願望があった。昼過ぎにはデイサービスフロア内で着席していた。しかし、椅子から立ち上がり、キッチン付近にいる職員に話しかけた後、職員らの横を通ってデイサービスフロアを横断。トイレの方向に向かって、建物正面玄関に通じる非常口の扉を開け、建物正面玄関から敷地外に出た。Aさんが行方不明となったときは、昼休憩の時間帯で、介護職員9名のうち4人は休憩中で、残り5人で利用者の対応をしていた。5人のうち2人は、利用者の口腔ケアやその準備にあたっており、1人は利用者の相談に応じていた。残り2人はキッチン付近で下膳作業をしていた。Aさんは職員のいるフロアを横断して出て行ったが、出て行くところは誰も見ていなかった。
その後、Aさんがいないことに気づいた職員が、建物内及び周辺を捜索し、警察や役場にも連絡して、警察犬による捜索や町内放送などもされた。しかし、Aさんは発見されず、3日後に畑で遺体となって発見された。死因は低体温症(凍死)。
いかがでしょうか。
デイサービスで働いた経験がある人なら、「自分の施設も起こりうる可能性があるのでは」とハラハラしませんでいたか?
ではこの事例に対してどのような判決が出た見てみましょう。
事業所の過失と認定された判例
【結論】
原告ら3人合計で2,870万円の損害賠償が認められています。
【予見可能性と結果回避義務違反】
まず、徘徊の具体的な予見可能性があったと認定しています。
(理由)
- 利用者には認知症状の1つとして徘徊癖があった。
- 職員も利用者の徘徊癖を認識していた。
- 具体的な状況として、利用者が椅子から立ち上がり、フロア内を歩行して、非常口へと向かった。
そこで、結果回避義務としては、
- 徘徊することのないよう人的・物的体制を整備する義務
- 利用者の動静を見守る義務
を認定しています。
そして、被告(事業者側)は、利用者の動静を見守ることをしなかったから、結果回避義務違反があると認定しています。
なお、人的・物的体制を整備する義務の違反はないとされました。
(理由)
- 28名の利用者に対し9名の職員は不十分ではない(人的体制)
- 昼休憩で5名の職員のみでも一時的だから不適切ではない(人的体制)
- 非常口に音がなる器具を設置していなかったとしても見守りで防げるから不適切ではない(物的体制)
【主な言い分】
被告(事業者側)は、言い分として、以下のことを主張しました。
(言い分)
本人は他人への意思伝達能力があり、助けを求めようとすればできた。
しかし、裁判所は、被告(事業者側)の言い分を認めませんでした。
(理由)
認知症による見当識障害により適切に対応できない。
引用:原口圭介法律事務所
利用者の行方不明を防ぐ対策
徘徊をする利用者さんがデイサービスで安全に過ごすためのアイデアを考えてみました。
参考
1、情報を整理する
帰宅願望が出るのは何時ごろか、自宅ではどうか、よく行くところはあるか、趣味や好きなことはなにか、などその利用者さんの情報を整理することが重要です。
2、全職員へ協力を求める
デイサービスには介護職員以外にも事務員やドライバーもいます。そのような職員にも利用者さんの特徴を伝え、利用者さんが帰宅願望を訴えだしたときには注意を促すことも一つの手です。
3、運動を促す
利用者さんに運動を促すことでエネルギーを消費し、不安を減らすことができます。
3、音楽やペットなどを利用する
音楽やペットなどの娯楽を提供することで、利用者さんの気持ちを穏やかにすることができます。
4、利用者さんの嗜好に合ったアクティビティを提供する
例えば、芸術活動や手芸など、利用者さんが楽しめるアクティビティを提供することで、利用者さんの不安を和らげることができます。
5、センサーを持っていただく
体に着けているだけで、その人の居場所がスマホでわかるセンサーがあります。もちろんご家族の了承が必要ですが、俳諧が多い利用者さんには万が一のことも考え、デイサービスの利用時だけでもそのような対応をしておくのも一つの手です。
これらのアイデアを実践することで、デイサービスで徘徊をする認知症の利用者の安全を確保することができます。
しかし、認知症の状態や利用者さんの個別なニーズに合わせて、適切な対策を講じることが重要です。
デイサービスのスタッフや利用者さんの家族と協力して、徘徊を防止するための計画を立て、実践することが大切です。
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