こんにちは、すきマッチ(@sukimatchi)です。
「嚥下機能に障害のない利用者さんの嚥下事故が続いている」という施設。
そもそも誤嚥の原因は嚥下障害だけではありません。
「歳をとれば誤嚥のリスクは誰でも高くなる。偶然、事故が重なっただけだ」という考えでは事故は続きます。
この記事を読むことで、あなたが働く施設の嚥下事故の減少を図ることができます。
年に一度は実施すべき【事故発生または再発防止に関する研修資料】。
今回は、嚥下事故という着眼点でお伝えしていきます。
参考にしていただけると嬉しいです。
目次
摂食・嚥下機能とは?
「嚥下事故がなぜ立て続けに起きたのか?」を考えるには、そもそも摂食・嚥下機能とは何なのか?をしっかり理解しておく必要があります。
では、まずは摂食・嚥下機能についてお伝えしていきます。
摂食嚥下とは一言でいうと「食べ物を認識してから、口に取り込み、咀嚼し、咽頭・食道を経て胃へ送り込む一連の機能」のことです。
具体的に摂食嚥下は、認知期(先行期)、準備期、口腔期、咽頭期、食道期の5つのステージにわかれています。
このうち、3~5の口腔期から食道期までが「飲み込む」動作にあたり、これが嚥下に該当します。
- 認知期:食べ物を認知し、口の中に取り込むまでの段階
- 準備期:咀嚼・食塊が形成される段階
- 口腔期:食塊を後方の咽頭に送り込む段階
- 咽頭期:食べ物を咽頭から食道へ運ぶ段階
- 食道期:食塊が胃へ運ばれる段階
わかりやすい画像があります。
こちらと照らし合わせてみてください。
引用:看護roo!
半身麻痺も誤嚥事故の原因に
半身麻痺の利用者さんは既往歴に「嚥下障害」と記載がなくても、誤嚥のリスクは高いです。
なぜなら口の中の機能も麻痺しているからです。
食塊形成や送り込みには、舌・頬・唇などの口の筋肉がすべて滑らかに動かす必要があります。
ですが、麻痺側の食塊形成や送り込みが上手くいかないことがあり、それが誤嚥の原因となります。
安全な食事の条件とは
摂食・嚥下機能が円滑に働くためには、次のような条件が必要です。
- 覚醒している
- ロの中が潤っている
- 顎が引けている
- 前かがみの姿勢がとれている
- 鼻で呼吸ができている
うつらうつらとしていて、半分寝ているような状態では摂食・嚥下機能は働きません。
またロが乾いていると食べ物は飲み込みにくいです。
顔が上を向いて顎が上がっていたり、 上半身が後ろに反り返っていても飲み込みにくくなります。
その場で一度やってみてください。唾液ですら飲み込みずらいです。
このように安全な食事の条件が整っていなければ、嚥下事故のリスクは高まります。
このように考えると、 「既往歴に嚥下障害がないから誤嚥のリスクはないはず」とは言えないことがわかります。
食事の環境や条件、食事介助の方法
嚥下事故の原因はたくさんあります。
もちろん、そのすべての原因に対して安全対策を講じることは難しいのです。
でも先ほどの【安全な食事の条件】を満たすことである程度のリスクを回避することができます。
では次に【安全な食事の条件】を「食事の環境」と「食事介助の方法」に分けて説明します。
今一度、下記のポイントが現場ではなされているか確認しながら読み進めてみてください。
食事の環境
姿勢
車いすで食事をすると、背もたれの傾斜によって、上半身が後ろに反り返ります。
よって、できるだけ車いすではなくテーブル椅子に座っていただきましょう。
そして深く座り、体を起こします。起こしすぎて前のめりにならないように注意も必要です。
あごを少し引いて、飲み込みやすいように食道の軌道を確保します。
足がしっかり地面についていることも重要です。食事に集中できるように、楽な姿勢をとるためです。
背もたれと背中の間に少し硬いクッションを入れると、安定した前かがみ姿勢が取りやすくなります。
いすとテーブル
小柄な利用者さんや円背が強い利用者さんが普通のいすとテーブルで食事をすると、テーブルが高すぎて顔が上向きになり、食べ物が飲み込みにく くなります。
そんな人には、体形に合ったいすとテーブルを用意しましょう。
口腔内の状態
ロの中が乾いてしまわないよう、こまめに水分摂取を促します。
また、薬の影響で口腔内が乾燥するケースもあります。
抗うつ剤、鎮痛剤、抗パーキンソン剤、降圧剤などの多くの薬物の副作用として唾液分泌の低下があります。
これらを服薬している利用者さんには十分な水分補給が重要です。
食事介助の方法
覚醒の確認
時々、うとうとしている利用者さんを起こしながら食事介助をしている場面を見かけます。
このような状態で食事介助をしたら、摂食・嚥下機能がうまく働かず、誤嚥事故の原因になります。
こんな場合は一度仮眠していただき、時間を空けてから食事をしましょう。
低い位置から食事介助をする
背の高い職員がいすに座って食事介助をすると、ロに運ぶスプーンが上からやってきます。
そうすると利用者の顎が上がり、誤職の危険が高くなります。
職員は低いいすに座り、低い位置からスプーンを運ぶようにしましょう。
急がせない
食事をなかなか飲み込めずに介助に時間がかかる利用者さんもいます。
急がせるようなそぶりを見せると「早く食べないと迷惑をかける」と思い、無理に飲み込もうとして誤嚥事故につながります。
「ゆっくり食ベてください」とこまめに声を掛けて、飲み込んだことを確認してから次のスプーンを出しましょう。
おわりに
いかがだったでしょうか。
今回は嚥下事故についてお伝えしました。
嚥下事故を防ぐには、正しい食事介助方法が重要です。
今回は簡単にお伝えしましたが、「もっと詳しく食事介助について知りたい」という人向けに別の記事を書いています。
興味があればこちらの記事もご覧ください。
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