こんにちは、すきマッチです。
介護施設で年に1度は必ず行わなければいけない「身体拘束の排除の為の取り組みに関する研修」。
今回は「身体拘束はなぜ問題なのか」という基本的な視点から研修資料にできる内容をお伝えしていきます。
是非参考にしてみてください。
目次
身体拘束がもたらす多くの弊害
"身体拘束"と聞くと誰もが「体を拘束するのだから、それはよくないでしょ…」というイメージを持ちます。
しかし、実際の介護現場では「これは身体拘束にあたるのではないか?」と感じる場面も生じたり、「そんなこと言っている場合じゃない」と思うことが多々生じてしまいます。
現場の職員は次第に「身体拘束は良くない」という意識が薄れてきて、無意識のうちに身体拘束を行ってしまいかねません。
そうならないために、介護施設では年に1回研修をする義務があるのです。
では身体拘束を廃止するための第1歩は何なのかといいますと、
それは施設・病院等の責任者・職員全体やご利用者の家族が、身体拘束の弊害を正確に認識することからです。
それでは身体拘束がご利用者にどのような影響を及ぼすのか、
「身体的弊害」「精神的弊害」「社会的弊害」と3つに分けてお伝えします。
身体的弊害
身体拘束をすることで、ご利用者の関節の拘縮、筋力の低下といった身体機能の低下が生じます。
また圧迫している部位にじょく創(床ずれ)の発生などももたらします。
食欲の低下、心肺機能や感染症への抵抗力の低下などの内的弊害ももたらします。
それだけではなく、車いすにY字ベルト等で拘束している場合では無理な立ち上がりによる転倒事故が生じ、
ベッド柵により自由を奪おうとした場合、それを乗り越えようと転落事故が生じたり、
さらには拘束具を外そうとし外傷が生じる危険性などもあります。
このように介護保険の概念である「自立支援Jという目標とまさに正反対の結果を招くおそれがあります。
精神的弊害
身体拘束は「その人らしい生活」が奪われ、人間としての尊厳をも侵します。
その結果、不安・怒り・屈辱・あきらめといった多大な精神的苦痛を与えてしまいます。
それが続くと認知症が進行したり、せん妄を頻発に起こすおそれもあります。
また、家族にも大きな精神的苦痛を与えます。
自分の親や配偶者が拘束されている姿を見たとき、混乱し、後悔し、そして罪悪感にさいなまれます。
さらに、介護職員たちも、自分が行うケアに対して誇りをもてなくなり、士気の低下を招きます。
社会的弊害
社会的にも大きな問題を含んでいます。
介護保険施設等に対する社会的な不信、偏見を引き起こすおそれがあります。
また、身体拘束による高齢者の心身機能の低下は、さらなる医療的処置を生じさせ、経済的にも少なからぬ影響をもたらします。
身体拘束による「悪循環」を認識する
身体拘束による「悪循環」を認識する必要があります。
認知症があり体力も弱っている高齢者を拘束すれば、ますます体力は衰え、認知症も進みます。
その結果、せん妄や転倒などの二次的障害が生じ、その対応のためにさらに拘束を必要とする状況が生み出されます。
最初は「一時的」として始めた身体拘束が、時間の経過とともに、「常時」の拘束となってしまい、そして、場合によっては身体機能の低下とともに高齢者の死期を早める結果にもつながりかねません。
逆に身体拘束を廃止することは、この「悪循環」を断ち切り、「よい循環」に変えることを意味しています。
身体拘束となる具体的な行為
身体的拘束とは、ご利用者の行動を制限する行為です。
具体的には次のような行為があげられます。
- 徘徊しないように、車いすやベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。
- 転落しないように、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。
- 自分で降りられないように、ベッドを柵(サイドレール)で囲む。
- 点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、四肢をひも等で縛る。
- 点滴、経管栄養等のチューブを抜かなぃように、または皮膚をかきむしらなぃように、手指の機能を制限するミトン型の手袋等をつける。
- 車いすや椅子からずり落ちたり、立ち上がったりしなぃように、丫字型拘束帯や腰ベルト、車いすテーブルをつける。
- 立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるようないすを使用する。
- 脱衣やおむつはずしを制限するために、介護衣(つなぎ服)を着せる。
- 他人への迷惑行為を防ぐために、ベッドなどに体幹や四肢をひも等で縛る。
- 行動を落ち着かせるために、抗精神薬を過剰に服用させる。
- 自分の意思で開けることのできなぃ居室等に隔離する。
よく介護現場で行われがちなのが"スピーチロック"です。
スピーチロックとは、言葉でご利用者の行動を抑制することです。
例えば「動かないで」「立たないで」「ちょっと待ってね」などといった言葉で、ご利用者の行動を抑制してしまいます。
スピーチロックは誰にでもできてしまい、それに気付いていない職員も多いです。
ふとした言葉などが、ご利用者にとっては強い抑止力となってしまうこともあるため注意が必要です。
おわりに
私の働く施設でも「これは身体拘束にあたるのか、どうなのか?!」というケースはたびたび生じます。
例えば、
- 車いす座位では座位姿勢が不安定で、前にずり落ちてくる為、ベルトを使用してはどうか
- ペグ周囲を無意識に掻いてしまうためクッション等で触れないようにしてはどうか
- 職員を呼ばず、すぐに立って歩こうとされるため、歩行器を少し離れた場所においてはどうか
等です。
その都度、徹底して職員間で議論しています。
もちろん拘束せざるを得ない場合が生じた際は、適切な処置をとることができるよう委員会や書類の整備等の準備をしています。(今のところありませんが…)
最も怖いのが『気づかないうちに身体拘束をしていた』というものです。
定期的に研修をすることで、「これは身体拘束にあたるのではないか?」と職員が考えられるような文化を気付いていきましょう。
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