こんにちは、すきマッチです。
2021年度の介護保険改定において、介護サービス事業者にBCP(業務継続計画)の策定が義務化されたことをご存じでしょうか?
すべての事業者に業務継続に向けた取り組みの強化が義務化され、令和6年3月31日までにBCPの作成、研修などの実施が必要になります。
BCPについて5回に分けてシリーズ化して、わかりやすく、そして詳しく解説します。
「忙しくて調べてられない」、「なんか難しそうで手を付けたくない」、「今から取り掛かろうと思っていた」という方は、是非読んでみてください。
第5回目の今回は【BCPと防災計画・訓練との違いはなに?】についてお伝えしていきます。
防災計画とBCP
「既に防災計画は策定しているのに、BCPも必要になるのか?」と思いませんでしたか?
防災計画とBCPは共通する部分もあり、また非常に密接な関係にあります。
よって、上記のような疑問も生じます。
しかしこの2つは目的が異なります。
防災計画とBCPを車の両輪と考えて取り組んでいくことが必要です。
目的
防災計画の主な目的は「身体・生命の安全確保」および「物的被害の軽減」です。
死傷者数と損害額を最小限にすることが重要視されます。
BCPの主な目的はそれに加え、「優先的に継続・復旧すべき重要業務の継続または早期復旧」となっています。
BCPの目的を達成するためには、その前提として、防災計画の目的を達成しておくことが必須となります。
考慮すべき事象
防災計画において考慮すべき事象は、「自施設がある地域で発生することが想定される地震や水害等の災害」です。
逆にいうと、自施設から遠く離れた地域の防災計画を策定する必要はありません。
一方、BCPで考慮すべき事象は、「自施設の事業中断の原因となり得るあらゆる発生事象」です。
自施設が業務委託している事業者(例えばお弁当屋)が津波の被害に見舞われた結果、自施設でサービス提供ができなくなることが想定されるのであれば、自施設が津波の影響を受けない場合でも、BCPにおいて津波を考慮しておく必要があります。
また職員が住む地域に災害があり出社できない場合などは、そのせいで介護サービスが提供できなくなるのであれば、もちろんBCPにおいて想定しておくべきです。
活動・対策の検討範囲
防災計画における活動• 対策の検討範囲は、法人全体ではなく、各施設ごとが対象になります。
それは防災計画が、「自施設がある地域で発生することが想定される災害」となっていからです。
同一法人内でも、複数の施設が別の地域にあれば、それぞれの施設が抱えるリスクは異なります。
具体的には、津波の危険性のある地域に立地する施設であれば、津波に備えた防災計画を準備しますが、同法人でも山の方にある施設では、津波に対する計画は不要となります。
一方、BCPでは、一つの施設の事業中断の原因となり得るあらゆる発生事象を考慮することで、活動・対策は、同一法人内の施設全体を事業中断の観点から俯瞰( ふかん) して検討することが求められます。
ある事業所が津波の被害に見舞われ、職員数が足りなくなれば、同一法人内の他の施設が応援職員を送るなどの体制を組むようなことがこれに該当します。
また、BCPでは、委託関係にある組織のことも考えておく必要があります。
例えば、衛生資器材を調達する事業者が被災すると、当然、介護サービス事業者はその影響を受けることから、それを前提に準備を進めておかなければなりません。
おわりに
いかがだったでしょうか。
厚生労働省がBCPのガイドラインや解説ビデオを出しているので参考にできますが、作成には半年から1年を要するとみられます。
参考までに厚生労働省のBCPについて記載しているサイトを載せておきますので興味のある方はご覧ください。
介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)作成支援に関する研修
BCP作成の他に、2021年度の法改正では、"高齢者虐待防止"に関しても委員会の設置義務が盛り込まれ、
- 虐待防止委員の開催
- 指針の整備
- 研修の実施
- 担当者の決定
が義務化されています。
下記に見やすくまとめていますのでご覧ください。
【サービス共通の運営基準の主な見直し】
業務継続計画: ※以下全て3年の経過措置あり
災害、感染症に関連するBCP(業務継続計画)の策定、研修の実施、訓練(シュミレーション)の実施が義務化。 ※他のサービス事業者との協働も可能。研修・訓練は居宅系は年1回以上、施設系は年2回以上実施し、全従業員の参加が望ましい。災害・感染症BCPを一体化して策定しても良い。 |
感染症対策:
[施設系サービス] 委員会の開催(3か月に1回以上、テレビ電話措置などの活用可能)、指針の整備、研修の実施に加え、新たに訓練(シュミレーション)の実施が義務化。 [その他サービス] 委員会の開催(6か月に1回以上、テレビ電話措置等の活用可能)、指針の整備、研修の実施に加え、新たに訓練(シュミレーション)の実施が義務化。 |
高齢者虐待防止:
虐待防止対策検討委員会(テレビ電話措置等の活用可能)の定期開催と結果の周知、指針の整備、研修の定期的な実施、担当者の配置が義務化 ※ケアマネージャー一人の居宅介護支援事業所など小規模事業者は、委員会については法人内の複数事業所や他委員会との合同開催、研修については複数事業所で協働した外部講師の活用、都道府県や市町村等による研修会への参加などで対応する必要がある。 |
では最後に宣伝させてください。
当ブログサイトは主に、介護施設で必要な"必須研修"について発信しています。
下記の表をご覧ください。
それぞれの研修についてブログを作成しています(※作成中の記事あり)
もしご興味があればこちらから覗いてみてください。
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