こんにちは、すきマッチです。
介護現場のみなさんは医療行為をしていないでしょうか。
介護職による医療行為は法律により禁止されていますよ。
皆さんの働いている職場では、介護職による「医療行為」と「医療的ケア」の線引きはしっかりとできているでしょうか?
また、研修や勉強会などで正しい知識を身につける機会はあるでしょうか?
十分な知識のないままに医療行為の怖さを知らずに行っている実態もあるかもしれません。
厚労省の通知と「医療的ケア」について掘り下げていきたいと思います。
介護施設で日常的に「医療行為」をしている方、または管理者の方、介護職に任せていいか迷っている看護師の方などに一読いただけると嬉しいです。
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目次
介護現場と医療行為の現状
冒頭でも述べましたが、医師や歯科医師、看護師などの免許を持たない人が医療行為を行うことは法律で禁止されています。
しかし、介護現場における介護職の医療行為は切っても切り離せない行為になります。
ですので、やってもいい行為、任せてもいい行為、やる場合に知っておかなければならない知識など理解しておかないと、利用者様に不利益を与えるばかりか、生命の危険にさらしてしまうなど自身や自身の施設の信用問題にもなってきます。
一部の調査では、介護職の99%以上が医療行為を実施して経験があるといった結果も出ています。ほぼ全員ですね。
その調査の際に挙げた医療行為はこちらです
介護現場にある医療行為
① 湿布薬を張る
② 軟膏を塗る
③ 点眼
④ 巻き爪や爪白癬の爪を切る
⑤ 褥瘡部分のガーゼ交換
⑥ 座薬の挿入
⑦ 血圧測定の結果からの判断
⑧ 浣腸
⑨ 摘便
⑩ 痰の吸引
⑪ 酸素吸入の準備
⑫ 点滴の抜針
⑬ 人工肛門の管理
⑭ インシュリン注射
⑮ 導尿
⑯ 利用者の口に直接薬をいれる
になります。
デイサービス勤務の私でも3分の1はやったことがありました。
施設系の介護職はもっと多くの医療行為にかかわっているのではないでしょうか。
ではなぜ、法律に触れてしまう「医療行為」を介護職が行ってしまうのか。
訪問の介護職員と施設系の介護職員では若干の理由の違いはあるようですが、主に
医療行為を行う理由
「利用者(家族)からの依頼」
「利用者が独居」
「看護師からの指示」
「自主的に」
といった理由が多いようです。
これってどれもかなり問題ですよね。
「利用者からの依頼」でも「家族がしているからヘルパーにも頼める」なんて勘違い。。。怖いです。
しっかりと説明しておかないと次以降のケア時にも頼まれてしまいます。
断っても「前のヘルパーさん(職員さん)はやってくれたのになぜ?」といったトラブルにも発展する危険もあります。
「利用者が独居」も怖いです。
これって自己判断ですよね!?ケアマネジャーが作成したケアプランに記載されているのかな。
何かあったらどうするのでしょうか。
例えば湿布薬を張るとかは、簡単な内容だから自分もできる。なんて思ってやっちゃうの?
看護師からの指示も看護師は「医療行為」と認識して依頼しているのでしょうか?
管理者や責任者は指示を知っているの。「この程度なら介護職がやっても。。。」と考えてないでしょうか。
自主的ってもはや介護職の域を超えて仕事をしています。管理者かな?(管理者でも駄目です)
人手不足など施設によって理由は様々ですが、“これぐらい大丈夫”といったふうに安易に「医療行為」をしてしまっている実情だと感じます。
厚生労働省の通知(医療行為でない物)
介護職が「医療行為」を実施している実情から想像ができると思いますが、介護職による「医療事故」が少なからず発生しています。
その確率は25%前後に上るとのことです。4人に1人の介護職員が医療事故の経験があるということになります。
それだけたくさんの利用者様を危険にさらしてしまっていると言えます。
介護職による医療事故
・巻き爪の利用者の爪を切って出血
・痰の吸引時にのどを傷つける
・薬の誤飲(他の利用者と間違える)
など、軽微では済まない事例もたくさん起こっているといいます。
そこで、そのような事故が起こる前に「医療行為でないもの」を知っておく必要があると思います。
下記に記したものは厚生労働省が
ホームヘルパーなど介護職が行うことができる「医療行為でないもの」を明示し、各都道府県に通知した行為です。
条件付きではあるもののこの10項目は「医療行為に該当しない」としました。
厚生労働省が医療行為に該当しない、と定めた行為
① 水銀体温計・電子体温計による腋下の体温測定、耳式電子体温計による外耳道での体温測定
② 自動血圧測定器により血圧測定
③ 新生児以外で入院治療の不要な者へのパルスオキシメータの装着
④ 軽微な切り傷、擦り傷、やけど等、について専門的な判断や技術を必要としない処置(汚物で汚れたガーゼ交換を含む)
⑤ 軟膏の塗布(褥瘡の処置を除く)
⑥ 湿布の貼付
⑦ 点眼
⑧ 一包化された内服薬の内服(舌下錠の使用も含む)
⑨ 座薬挿入
⑩ 鼻腔粘膜への薬剤噴霧の介助
この通知では、医師法や歯科医師法、保健師助産師看護師法の規制対象外となる以下の6つの行為も明らかにしています。
法律の規制対象外となる行為
① 爪切り、爪やすりによるやすりがけ
② 歯ブラシや綿棒、または巻き綿糸などによる歯、口腔粘膜、下に付着した汚れの除去
③ 耳垢の除去(耳垢塞栓の除去を除く)
④ ストマ装着のパウチにたまった排泄物の廃棄(肌に接着したパウチの取り替えを除く)
⑤ 自己導尿の補助としてのカテーテルの準備、体位の保持
⑥ 市販のディスポザブルグリセリン浣腸器を用いた浣腸
これらの項目が正式に「医療行為」から外れたことで、介護士が行っても法律違反にならなくなりました。
「医療行為」と「医療的ケア」
前の章までに説明させていただいた行為以外は依然として「医療行為」とされ、無資格者が行うことは法律違反にあたります。
ここでは、日常的必要とされる医療的な生活援助である「医療的ケア」との関係についてお話します。
介護職と医療行為について
この記事で何度も触れていますが、原則的に介護職が医療行為をするのは禁止されています。
法律違反であり、「医療行為」は利用者様の生命や身体に危害を及ぼす危険があるからです。
ただし、よく医療行為と混合されがちですが「医療的ケア」なら介護職でも可能となっています。
また、一定の条件を満たした介護職であれば禁止されていないものもあります。
介護職がやってもいい「医療的ケア」
医療的ケアとは、日常生活上で必要とされる医療的な生活援助の事です。
「これって医療行為かな?医療的ケアかな?」と迷ったときは
注意ポイント
1. 普通の人はその行為をしているか
2. 自分がその行為をしても、利用者に怪我や後遺症を与えないか
3. その行為をするにあたって、医学的判断をしていないか
といった点に意識してみましょう。少しでも不安があることはやらないか、医師に相談しましょう。
では、介護施設等で認められている「医療的ケア」を下記に挙げていきます。
バイタルチック(医療的ケア)
血圧、体温、酸素飽和度など測定するだけであれば介護職も行ってもいい行為です。
ただし、その結果から「薬をへらす・飲む」などの自己判断は医学的判断にあたるのでNGです。
軽い切り傷、擦り傷、火傷の処置(医療的ケア)
包帯を巻くことや絆創膏を貼るといったように、軽いけがであり専門的な知識が必要ない処置であれば医療行為にあたりません。
応急処置は常識の範囲内で施してください。
症状がひどい時は、できる範囲での処置をしたのちにすぐに看護師を呼ぶこと。
火傷の水ぶくれを破く、さかむけの皮膚を切除するなどの自己判断は厳禁です。
薬を塗る・湿布を貼る・一包化された薬の内服・座薬の挿入・目薬の点眼(医療的ケア)
利用者様の状態が安定している、薬の使用に専門知識を必要としない場合に限って、介護職も服薬介助をすることが許可されています。
ただし、しっかりと医師の指導を受けたうえで行うことです。
爪切り(医療的ケア)
爪に炎症がある、巻き爪など、爪や皮膚が特別な状態でない限りは、爪切りは医療行為にあたりません。
異常をきたしている爪を切ろうとする場合に、皮膚を傷つけたり、出血させてしまう恐れがあるために医療行為になります。
口腔ケア(医療的ケア)
日常的な歯磨きや義歯の手入れは医療的ケアになります。
重度な歯周病などを患っている場合は医学的判断が必要となりますので、やめておきましょう。
口腔内や義歯を洗浄するなどして清潔に保つことは、衛星保持の業務として大切な業務です。
耳掃除(医療的ケア)
耳垢の除去自体は医療行為ではありません。利用者様の同意を得たうえで、安全に行うことは可能です。
排泄介助
人口排泄(ストマ)の排泄物の除去、自己導尿の補助のためのカテーテルの準備は介護職でもおこなっても大丈夫です。
ただし、肌についてパウチを取り換える・カテーテルを利用者様の身体に挿入する行為は医療行為にあたります。
市販の浣腸(医療的ケア)
介護職は、挿入部が6cm以内で40g以内の、グリセリン濃度50%のものに限って浣腸が行えます。
条件付きで許されている医療行為
痰の吸引と経管栄養(胃ろうなど)は、2012年の4月からできるようになった医療行為です。
以下の条件を満たす介護職のみ実施することができます。
ポイント
1.2016年1月以降に合格した介護福祉士
2.一定の研修を受け「認定特定行為業務従事者認定証」を与えられた介護職員
3.勤めている施設・事業所が、医療と介護の連携を整えて都道府県知事の登録を受けている
4.医師から実施に関する指示や業務の流れを、手順書によって共有されている
介護施設でよく需要のある介護職がしてはいけない医療行為
摘便
腸壁を傷つける恐れがあります。
褥瘡の処置
ガーゼ交換などは医療行為にあたりませんが、消毒する、薬を塗ることは医療行為になります。
その周囲を水洗いすることや外用薬を塗布することは介護職でも可能です。
インスリン注射
利用者様がご自身で打ち、その補助をするだけであれば医療行為になりません。
ただし、現時点では介護職がインスリン注射をすることは禁止されています。
血糖値測定
測定時に利用者様の身体に針を刺す必要があるので医療行為にあたります。
また、測定結果をもとにインスリンの単位の調整をする行為も医学的判断なので当然禁止です。
このように基本的に医学的な知識の必要がなく、日常生活でほとんどの人が行っている行為を介護職が利用者様に提供することは「医療的ケア」として可能になっています。
また、研修を受けることで可能になる行為もありますので、しっかりと確認してください。
このほかの「医療行為」をすることは
法律違反=捕まる可能性がある
と理解しておいてください。
最近は、介護職の職務の拡大、医療行為の範囲の拡大が進みつつあります。
それだけ介護職にも責任が生じます。
介護職もしっかりとした知識を付けいかなければならないですね。
4. 研修の重要性
ここまで挙げていったように、介護職は厚生労働省が通知した内容や医療的ケアを実施することが可能になっています。
しかし、国や自治体は一部の医療行為以外に研修等を義務付けていません。
ほとんどの「医療的ケア」をスタッフ自身が自主的に勉強するか、もしくは何も勉強せずに提供できてしまうことになります。
これでは医療事故が増えていくことは間違いないでしょう。
介護職自身も自覚や責任をもって知識をつけるべきでしょうが、限界もあると思います。
1番の問題は、正しい知識を持たない介護職が「医療的ケア」を提供するということは利用者様に与える影響が図りしれないことです。
現場でも様々な問題が出てくることが予想できます。
不安に感じたり、上司に訴えても「命令」として実施しなければならない場面も出てくるかもしれません。
ベテランになると経験や偏った知識のみで医療行為を実施してしまう恐れも出てきます。
医療行為に対する認識が低いと、利用者から頼まれる行為が医療行為に当たるがどうかの判断ができない。
結果、事業所に報告もなく、何かが起こってから発覚する。といったことにもなりかねない。
こういった場合には、
注意ポイント
・介護職に勝手に判断させずに必ず事業所・管理者に連絡をさせること
・誰からの依頼であるかはっきりと認識しておくこと
・介護職ができない行為であるときはしっかりと利用者に説明する
を徹底することである程度のリスクマネジメントになるのではと考えます。
正しい知識を身につけることで、不安を解消できる、危険を回避することができます。
利用者・職員双方にメリットのあることだと思います。
研修をするにあたっての注意点は、難しくなり過ぎず、しっかりと提供サービスの実態を知っている講師を選ぶことをお勧めします。
講義内容も大切ですが、研修後のアフターフォローも大切になります。
なぜなら、「医療的ケア」が与える影響や危険性を聞くことになるからです。
自分自身にできるだろうか?
怖いな。
といったネガティブな気持ちになりがちだからです。
「医療的ケア」の必要性、利用者に与えるいい影響をしっかりと伝えることがポジティブに理解してもらうために必要であると考えます。
まとめ
いかがでしたか?介護職とは切っても切れない「医療的ケア」についてお話させていただきました。
何かが起きてからでは、利用者も事業所もスタッフ個人もただではすみません。
みんなを守るために正しい知識を身につける、身につける機会を創出することが大切だと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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