こんにちは、すきマッチです。
訪問介護事業は運営する上で定期的に「接遇に関する研修」を開催する必要があります。
今回はこの「接遇に関する研修」を【接遇・マナー&ルール研修】というタイトルと内容でお伝えしていきます。
訪問介護事業には必須ですが、他の事業所にもきっと役立つ研修になるはずです。
このまま研修の資料として使っていただいてもかまいません。
研修資料作成において少しでも役立てていただければ嬉しいです。
目次
身だしなみ
身だしなみは周りに不快感、不安感を与えないためのマナーです。
【身だしなみのポイント】
- 髪
- 顔まわり
- アクセサリー
- 服装
- 爪
- 足元
- その他
では一つづつ見ていきます。
髪
- 長い髪はまとめて束ねる
- 髪留めや髪を結ぶゴムなどはシンプルなものを使う
- カラーは自然な色(こげ茶・黒髪)
- 前髪は眉毛にかからない程度の長さ、またはピンなどで留める
- 寝ぐせは直し、清潔に保つ
- フケや抜け毛に注意する
顔まわり
- 健康的に見えるナチュラルメイクを心がける
- コンタクトレンズは無色透明なものを使用する
- ひげはきれいに剃る
- 口紅、チーク、アイシャドウなどは色の濃いものを避ける
- つけまつげをつけない
- 鼻毛を処理する
- 眉毛は自然な形にする
アクセサリー他
- 結婚指輪以外の指輪をつけない
- ピアス、イヤリング、ネックレス、ブレスレットなどはつけない
- 時計の時刻は正確に(介助時には外す)
洋服
- 香りの強い柔軟剤は使わない
- ボタンはきちんと留める
- 下着が見えないようにする
- しわのない清潔なものを着用する。
- 特に、首・袖回りの汚れに注意
- 袖やズボンの袖をまくり上げたまたまにしない
- 穴が開いていたり、汚れている靴下は履かない
爪
- やすりで爪先を滑らかにする
- ネイルアートやつけ爪をしない
- 爪は短く切りそろえ、清潔に保つ
足元
- 床材などに適した滑りにくい靴を履く
- 靴は清潔に保つ
- 靴のかかとを踏まない
その他
- 汗をかいたら、こまめに吹く
- 香水など香りの強いものをつけない
- ポケットに入れるものは最小現に(介助の邪魔になったり、危険がないかチェック)
- 入浴、歯磨きを欠かさず、体臭に配慮する
あいさつ
挨拶の基本
- 自分から先に挨拶をする
- 相手に届く大きさで、早口にならないように明るく声を掛ける
- 必ず相手の方を向き、笑顔を忘れずに
ご利用者への挨拶のポイント
- 明るい笑顔でゆっくり、はっきりと
- ご利用者の名前を呼んで自分からあいさつ
- 立ち止まって相手の顔をみながら
- 相手の目線と高さをそろえて
- あいさつにはお辞儀を添えて
言葉遣い
【介護・医療現場でよくある間違いの例】
食事介助の場面で
×「ゆっくりたべてね」
○「ゆっくり召し上がってくださいね」
入浴介助の場面で
×「熱くない?」
○「お湯加減はいかがですか?」
排便を確認する場面で
×「今日、うんち出た?」
○「今日、お通じはありましたか?」
トイレを促す場面で
×「これから散歩だけど、トイレに行った?」
○「これから散歩ですが、トイレは済まされましたか?」
電話の受け方
電話での応対は、事業所を代表して行う行為です。
お互いに顔が見えない為、対面して話す時以上に気を付けて行いましょう。
練習してみよう
①電話出でる
2コール以内に出る
4コール以上鳴った場合は、「お待たせいたしました」と一言添える
②名乗る
「おはようございます。デイサービス○○の××(自分の名前)でございます」
③要件を聞き、メモを取る
「いつもお世話になっております」と言ってから要件を聞く
④要件の内容を確認する
相手から聞いたことをメモし、「確認のために内容を復唱してよろしいでしょうか」と言ってから復唱する
⑤静かに受話器を置く
「私、○○(自分の名前)が承りました。お電話ありがとうございます。失礼いたします。」と締めくくりのあいさつをして電話を静かに切る
自分では答えられない質問があった場合
【対応できるスタッフがいるとき】
「申し訳ございません。私ではわかりかねますので、担当の者と変わります」とお伝えして電話を代わりましょう。
【対応できる職員がいないとき】
「申し訳ございません。私では分かりかねますので、担当の者が戻りましたら、折り返しご連絡してもよろしいでしょうか」とお伝えし、内容と連絡先をメモしましょう。
電話の取次ぎ方
【取次ぎ相手が不在の場合】
「申し訳ございません。あいにく、○○は不在にしております。○時ごろに戻る予定ですが、こちらからお電話を差し上げましょうか。」
【折り返しの電話を「お願いします」と言われたら】
「かしこまりました。恐れ入りますが、念のため、お名前とお電話番号を再度伺ってもよろしいでしょうか」
⇒相手の連絡先を伺ってから
「それでは復唱させていただきます(聞いた内容を復唱する)」
「お電話を差し上げる際、ご都合の良い時間はございますか」
【「こちらからかけ直します」と言われたら】
「かしこまりました。お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします」
【取次ぎ相手が休みの場合】
「申し訳ございません。本日、○○は休みを取っております。明日は出勤致しますので、こちらからご連絡させていただきましょうか。(よろしければ、ご用件を承りましょうか)」
【伝言を受けた場合の対応例】
「復唱させていただきます。『………』との内容でよろしいでしょうか。○○(自分の名前)が承りました。お電話ありがとうございました。失礼いたします。」
【電話が聞き取りにくい場合】
「申し訳ございません。お電話が遠いようです」
電話のかけ方
緊急時以外は、忙しい時間帯に電話をすることは避けましょう。
また、急いだとしても、早口にならないように注意し、相手に好印象を持たれるように心がけましょう。
【練習してみましょう】
①電話をかける(番号を間違えないようにする)
②(つながったら)名乗る:「お世話になっております。デイサービス××の○○(自分の名前)と申します」
③相手を確認する:「○○様のお宅でしょうか?」
居宅にかける時は、「○○様をお願いできますか?」
④相手の状況を確認する:「今、お時間よろしいでしょうか」
⑤(了解していただけたら)要件を伝える:「ありがとうございます。○○についてのご連絡なのですが…」
⑥静かに受話器を置く:締めくくりのあいさつをして電話を静かに切る
【ワンポイント】
日付、時間、事業所名、名前、内容を記録できるよう、電話機の近くにメモ帳やボールペンを準備しておきましょう。
内容は5W1Hで記載し、漏れが無いようにしましょう。
【相手が不在時の対応】
相手が不在で伝言を頼む場合:「○○様に伝言お願いできますか?」
相手が不在で伝言を頼まない場合:「では、後程お電話致します」
【ご利用者の自宅へ電話する場合の会話例】
例①)送迎時、渋滞などで送迎時間が遅れる場合:
「申し訳ございません。渋滞の為、予定時間より10分~20分ほど到着が遅れそうです」
※利用者さんもしくはご家族は家で待たれています。何時ごろに到着できそうか、おおよその時間を伝えましょう。
例②)事業所に忘れ物(帽子)があった場合:
「お父様の帽子を渡し忘れてしまい、お預かりしております。ご心配をおかけして申し訳ありません。お届けしましょうか」
※ご利用者が「忘れ物」をしたのではなく、「渡し忘れた」ことをお詫びしましょう。
【次回の来所日のときで良いと言われたら】
「かしこまりました。こちらで保管し、次回来所の際にお父様へお渡しします」
【持ってきてほしいと言われたら】
「かしこまりました。○時ごろに届けに伺います(参ります)」
外部の方への対応
外部の方(ケアマネージャーやご家族など)に対して、先輩や上司などの事を伝える場合、敬称(様、さん)はつけません。
【ケアマネージャーやご家族が管理者を訪ねてきたが、電話中の場合】
×「ただ今、○○さんは電話で話していらっしゃいますので、座ってお待ちください」
○「ただ今、○○が電話中ですので、お掛けになってお待ちください」
【ケアマネージャーやご家族が管理者を訪ねたが、休みの場合】
×「本日、○○はお休みをいただいております」
○「申し訳ございません。本日、○○は休みを取っております。よろしければ伝言を承りましょうか」
情報共有の基本を身につけましょう
「報告・連絡・相談」で情報共有
仕事を円滑に進めるためには、コミュニケーションを取り、情報共有をすることが重要です。そのためには「報告・連絡・相談」をきちんとしましょう。
報告:担当している仕事の進み具合などを調べる
「来週行う予定の○○の準備は××まで終わりました」など
連絡:事実や決定事項など関係者に伝える
「○○さんのご家族から、お休みしたいと電話がありました」など
相談:判断に迷ったり、困ったときに上司や先輩のアドバイスをもらう
「ご利用者の○○さんは私がお誘いしてもなかなかレクに参加してくださらないのですが、どうしたらいいでしょうか」など
相手に具体的に伝えるための 5W1H
「いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように(5W1H)」を伝え、相手が具体的にイメージしやすいように伝えましょう。
記録やメモで伝える場合も同様です。
When「いつ」(時間):
「何時ごろ」または「昼食の準備を手伝っていただいたときに」など、具体的に示す。
Where「どこで」(場所):
「トイレで…」「浴室で…」などあいまいにせず、「トイレの便座の斜め右側に立ち」など、場所を明確に示す。
Who「誰が」(関係する人物):
「介護職員の○○さん」「ご利用者の○○さん」「ご利用者のご家族」など、誰の行為なのかを明確に示す。
What「何を」(物、行動)
「車イスを」「トイレの便座への移乗を」など具体的な行動や、ご利用者の反応・変化・言葉などを明確に示す。
Why「なぜ」(理由)
「のどが渇いたと言われたため」「ご家族の希望により」など、その対応を取った理由を具体的に示す。
How「どのように」(手段、方法):
「転倒した」という事実だけでなく、「便座に座ろうとして方向を変えたところ、膝折れして尻もちをついた」など、それまでの過程を具体的に示す。
【ワンポイント】
ミスやトラブルの発生など、悪い情報こそ速やかに報告・相談を!報告が遅くなるほど、さらに困る事態になることも!
携帯電話(スマートフォン)を使う際の注意点
携帯電話やスマートフォンはいつでもどこでも使えて便利なツールですが、トラブルや個人情報の漏洩などにつながる危険もあります。使用する際はマナーを守り、事業所のルールに従いましょう。
【ワンポイント】
事業所で許可されている場合は、個人の携帯電話やスマートフォンを所有できますが、その場合も業務中に私用で使うことは厳禁です!
【携帯電話(スマートフォン)のマナー】
①マナーモードにする
着信音がならないようにマナーモードに設定します。
私用のメールやSNSのチェックなどは休憩時間に行いましょう。
②「歩きスマホ」をしない
歩きながらの操作は、通行の妨げになったり、ケガを伴う事故などのトラブルにもつながります。
以下のようなときに、特に注意しましょう。
・駐車場(最寄り駅)から事業所まで歩いている時
・休憩中などに、施設内を移動する時
③運転中は電話に出ない
運転中の使用は法律で禁止されています。やむを得ず電話に出る場合は、安全に配慮して車を駐車場や路肩に停めましょう。
※駐車禁止区域に5分以上車を停めていると駐車違反の取り締まり対象となるため、注意が必要です。
④会話の内容に注意する
電話に出る場合、会話から個人情報が漏れることが無いように周りの状況を確認します。
また、緊急の要件でない場合は、「後程、こちらから折り返し電話します」と断って電話を切ります。
⑤病院内では電源をオフに
病院内など使用を禁じられている所では電源を切っておきます。
個人情報をプライバシーの保護
介護従事者には守秘義務があり、利用者の個人情報は自分の家族にも漏らしてはいけません。
ささいな会話や不注意から、個人情報が流出することもあるため注意が必要です。
【会話による漏洩例】
廊下でご利用者の個人情報を話していて、他のご利用者に聞かれた。
スタッフが自分の家族にご利用者の個人情報を話した。
電話でケアマネージャーとご利用者について話しているのを、他のご利用者に聞かれた。
居酒屋で同僚とご利用者の個人情報を話しているのを、ご利用者の近所の人に聞かれた。
【掲示物による漏洩例】
許可を得ていないご利用者の写真と名前を社外向けの販促物に掲載した。
地域の人が自由に出入りできる場所の掲示板に、ご利用者の名前と年齢に添えて作品を展示した。
【SNSを使う際の注意点】
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)はとても便利なツールですが、情報の取り扱いを間違えると予期せぬトラブルにつながります。
発信してはいけないことを、しっかり理解しておきましょう。
【トラブルに発展する可能性がある事例】
事業所内の写真を無断で発信。
背景に個人情報の資料が写り込んでいて、ご利用者からクレームがあった。
許可なく写真や氏名を発信。
活動の様子を許可なく事業所の宣伝に使い、ご家族からクレームがあった。
仕事中の写真を無断で発信。
サービス提供中の写真を無断で使い、ご利用者からクレームがあった。
許可なく写真を加工して発信。
情報漏洩にならないように、ご利用者の顔にスタンプを押したら、ご家族から「父を侮辱している」とクレームがあった。
SNSでの不適切な発言があなたの人生を狂わせ、会社にも大きな損害をもたらす可能性があることを覚えておきましょう。
送迎時の注意点
送迎はただの運送ではなく、介護サービスです。
法律を守り、事業所の送迎マニュアルに沿って行いましょう。
ご利用者は、加齢に伴う筋力低下等により座位が不安定になりやすく、送迎時のブレーキや揺れが思わぬケガにつながることを常に意識しましょう。
また、送迎時はご利用者・ご家族だけでなく、ご近所の方にもみられていることを意識して行動しましょう。
【運転中の意識】
急ブレーキ・急発進・急カーブをしない。
ルームミラーでご利用者の様子を確認する。
すれ違いが難しい場所では道を譲る。
道を譲ってもらったときは会釈をする。
送迎の為に車や歩行者を妨げないようにする。
妨げてしまったときは頭を下げる。
停車中、近所の方に会ったら自分から挨拶をする。
ご本人やご家族に体調などを確認し、急変に備える。
【事業所からの出発前の確認と準備】
ご利用者について:
当日の送迎表・送迎時間、送迎するご利用者情報など
送迎車について:
燃料の残量、タイヤの空気圧、傷・へこみなどの車体確認、車内温度、座席シートの汚れなど
備品について:
タオル、ティッシュ、ポリ袋、防水シート、雨具、救急箱、嘔吐対処セット、体位安定のための補助クッションなど
【送迎後】
車内に残っている方がいないか確認(特にワンボックス車の最後部座席。座席の下に倒れている場合もあるため、ルームミラーで見るだけでなく、目視で確認する)
忘れ物、ごみなどの確認
車いすのおろし忘れ、鍵の外し忘れ、窓やドアの閉め忘れ、電気の消し忘れを確認する。
名刺交換マナー
頂いた名刺は大切に扱いましょう。
名刺は両手で持って受け渡しします。
頂いた名刺は自分の名刺入れの上に乗せ、机の上に置きます。
①名刺入れの上に名刺を載せ、両手で端を持つ
②脇をしめて、胸の高さで交換する
③相手の名刺は左手で受け取る
④名刺入れに乗せて右手を添える
おわりに
いかがでしたか?
どんな良い介護をしても"接遇・マナー・ルール"がきちんとできていなければ台無しです。
この研修をもとに少しづつ職場に良い変化が得られることを願っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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