こんにちは、すきマッチです。
5,6年前ぐらいまでは介護・医療業界は「見て学べ」が常識だった気がします。
働き方改革などの浸透、また介護職員処遇改善加算の出現で、徐々に変化がみられてきました。
そして本日のテーマ、『評価シート』は今後必ず必要です。
もしあなたがこれから職を探そうとしている方なら『評価シート』をしていない職場は選ぶべきではありませんし、逆に管理する立場にあるなら早急に評価シートを作るべきです。
理由を言いますと、
・『評価シート』がないとキャリアシステムができない
・キャリアシステムがないと優秀な人材が来ない
・スタッフ各々の目標が立てれない
・昇給や賞与管理の根拠がなくずさんになる
まだまだありますが、
良い人材には長く働いてもらい、勤務態度の良くない人材には去ってもらうには『評価シート』がなければなりません。
では『評価シート』の必要性を感じていただいたうえで、実際にどのように作り、実施していくかを今から記載します。
かつて私は、所属していた施設で実際に『評価シート』作成にかかわり、試行錯誤を繰り返してきました。
その結果「最初からこうしていればよかった」と思うことなど記載していきますので、この記事をお読みいただいた方は最短時間で良い『評価シート』を作成できるかと思います。
最後までお読みいただけると嬉しいです。
目次
『評価シート』導入による変化
私の所属していた施設でも以前は「見て学べ」でした。
しかし、『評価シート』を導入しいろいろな変化を感じることができました。
その変化を記載していきます。
・ある程度経験をつむと介護職としての向上心がなくなる
→新たな知識や技術の必要性に気付いた
・今の能力で日々の仕事ができている
→新しい知識を取り入れなければ、知らずに知らずに利用者に間違ったケアをしている(認知症ケアや制度、薬情など)
・「あの人は~ができていない」等スタッフ同士の不満が多い
→『評価シート』によって不満の対象が明確化され不満が減少
・面談はスタッフの愚痴で終わっていた
→スタッフの目標を考える面談に変わった
『評価シート』の作成
では次に作成について記載していきます。
【評価段階の設定】
いろいろ調べていると、だいたい3段階評価、4段階評価、5段階評価のどれかにしている事業所が多いです。
私たちは、はじめは5段階評価から始めました。しかし5段階だとどうしても中の2~4にかたよります。
2~4だと自分の課題があまり明確になりません。
そして最終的に3段階にしました。
『常にできている100%、大体できている50~99、ほぼできている0~49』
に設定しました。
評価シートは一度作ったら必ずそれでやらないといけないわけではないので、自分の法人に合ったものを思考錯誤して作成してみると良いかもしれません。
【賞与や昇給への反映】
これは法人によって異なると思います。
いち管理職が決められることではないですよね。しかし提案はできるかもしれません。
昇給・賞与・処遇改善加算どれかに反映させる法人もあれば、そうでない事業所もあります。
評価を合計してランク付けをし、そこから勤続年数などを考慮し、賞与などを決めている事業所もあります。
ただ、何かに反映させなければ『評価シート』の重みもありませんし、重みがなければ継続することもできません。
【評価の具体性】
具体的な評価であればあるほど良いと思います。
大事なのは評価する側が評価しやすいことです。
項目を評価する側が迷わないようにするのがベストです。
例えば「毎日しっかりと挨拶ができる」⇒「毎日笑顔で、相手に好印象を与えるような挨拶ができる」とします。
これだと基準が自分ではなく、相手なので評価しやすいと思います。
事業所によっては『評価シート項目の解説』があるところもあります。
【基本姿勢に対する評価、専門分野に対する評価を作成する】
法人が大きければいろいろな専門職がいます。看護師や事務、ケアマネージャー、セラピスト、介護士、生活相談員など。
まずは土台として「法人で働く者として」みたいな評価をベースにする必要があります。
そして専門分野によって上乗せするイメージです。役職者はさらにそこから上乗せします。
ということは『評価シート』を作成する前に「法人で働く物としての心構え」もしくはビジネスマナーなど作成しなければいけません。
【評価をする人】
評価者は1人では好き嫌いがどうしても生じてしまいます。
評価者は2人入れ、上司ともう一人、同等の立場の方を評価者にするのが理想です。なぜなら一番近くで長い時間その方を見ているからです。
またリーダーにむっかっていく人の評価があれば、現リーダーが評価できれば良いかと思います。
そして主観が入らないようにするには、評価者の研修を絶対に行わないとできません。
管理職の評価は、課長補佐は課長と部長。課長は部長と社長が良いと思います。
そして課長の評価は、利益や数字の達成率の評価が多くを占めて良いかと思います。横からと下からの応援がないと数字は出せないからです。
【『評価シート』後の面談】
自己評価と他者評価のずれは、面談ですり合わせないと不平不満が出るのは間違いありません。
また面談では、対象者の目標を設定するようにします。できていないところをできるように目標を立てることでも良いですし、できていることを更に伸ばしていくことでも良いかと思います。
目標設定し、なりたい自分を具体的に意識させることは有効です。
伝えも重要です。
「ここができていないから改善してほしい」という言い方ではスタッフのモチベーションは下がってしまいます。
「ここをもう少し改善して穂いいのでけど、私にできることは何かないかな?」という言い方で、一緒に改善の努力をしていこうという姿勢を見せることが大事だと思います。
私たちが実施した際、こんな問題が生じました。
「評価が低い人が目標に向けて頑張っている」そして「評価がそこそこの方が、特に目標へ向上心が感じられない」場合の評価の差が難しいというものです。
結論、評価軸は変えず、「改善する意欲」を評価項目に入れました。
私が『評価シート』をやってみた感想と改善策
私が『評価シート』をやってみた感想と改善策を下記に記載していきます。
・評価者が評価項目をしっかりと頭に入れて業務にあたることが重要
→1年に1回の評価は大変なので、月ごとに対象を決めたり、期間を決めてどの項目を見るかなどを決めておくと年度末の評価がしやすくなる
・見えないところの評価ができない
→見えないところは他者評価の点数に入れないが、自己評価として残す
・理念等、個人の解釈や理解度で差が出そうなところの対策
→理念をどういった場面で評価をしているか、具体例や意識するポイントをしっかりと示す必要がある
→理解の仕方に差が出る場合は、会議などで理念を説明して、自分の言葉にして声に出してもらう、家族や友人に話をして理解してもらえる説明ができるか、など
・自立支援の考え方
→勘違いし易い項目、できる事をしてもらうのも重要だが、やる気を上げたり家でもできるようになる事が自立支援。事業所で自立支援の考え方やポイントを統一する
※自立支援は介護保険でも重要な位置づけなので事業所としてしっかりと解釈を統一しておくこと
補足:自立支援についての記事を書いています。興味のある方はこちらをどうぞご覧ください。
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評価シートを使った指導
必ずいるのが、評価しても改善が見られないスタッフです。
そのようなスタッフに対しては、まず評価の低い項目、改善の見られない項目を指摘します。
その際、改善の意思があるかないかを判断します。
改善の意思がある場合は、先ほど記載したように「一緒に改善するにはどうすればいいか」を考えます。
改善の意思がない場合は、モチベーションのことなど考えず改善方法を徹底的に指導します。
私が経験した一例を紹介します。
言葉遣いが悪く一向に改善しないスタッフがいました。
まずは事業所としてどういった言葉遣いがよくて、何がダメかをしっかりと基準を決めます。
そして、仕事として意識をしてもらうことを伝えます。
横に利用者の家族がいても同じ言葉掛け、対応をするのか、自分の家族が同じような言葉づかいでケアされていたらどうかなど指摘します。
なぜ、家族がいるときといないときで言葉遣いが違うかを考えてもらいました。
そして下記のように指導していきました。
・よく使う言葉から直させる(紙に書かせても可)
・どんな言葉にも「です」「ます」をつけるところから始める
・出来る言葉を増やしていく
改善の意思がない項目に対しては、その項目にもしっかりとした根拠があり、その根拠を説明する必要があります。
もし、これらの過程で対象となるスタッフがいやになり退職したとしても、他のスタッフへの影響なども考え「仕方がない」と割り切る考えも必要かと思います。
管理職やリーダの『評価シート』
まずは、一般の評価シートが基盤になります。(一般の評価が低い人間を管理職にすると不満が出ます)
その上で、「リーダ―もしくは管理職のこころえ」を明記しそれをもとに評価をしていくことになります。
ただし、一般の評価シートの点数が良いからといってリーダ―などに向いているかというとそうではない場合もあります。
評価点数が高く、人の上に立つ能力はあるが役職を希望しない人、能力はないが役職を希望する人はいます。
人の上に立つ能力がない人でも本人が希望すれば上がれる法人なのか、そうではないのか、法人としてどちらなのかをまず決めなければいけません。
そういう場合は絶対出てきます。「いい人だけど、役職はちょっと…」みたいな人です。
そういう場合は、人間力を見る評価を別枠で作って、リーダーとして必要な能力を根付かせるなども一つの方法かもしれません。
リーダーは教育で上げていくのか、どう図っていくのか。結局は資質の問題という考えもあります。
現場の仕事と役職者の仕事は違い、資質のない人間に役職を与えると、本人・部下共にしんどくなります。
そして1度上げてしまうと降格するのは難しく、大きな問題になりかねません。
リーダー以上の育成や昇格は慎重になる必要があります。
おわりに
補足として2点あげます。
1つ目は、この業界は引き抜きや中途採用が多い業界です。
ですが、中途採用といえども法人の理念、方針に染まっていただかないと困るわけですから、最初は同等の評価から始める必要があります。
2つ目は、他施設をみると部下からの上司評価や360度評価などもありますが、あまりおすすめしません。
それよりも部下に理想の上司像をあげさせて、必要なところだけ意識させる方が良いと思います。
一番難しいのは(人事考課)継続することです。
理由は、評価シートを始めるといろいろな意見が出たり不満が出て評価者が萎えてしまいます。
そしていきなり良い評価シートを作ることは難しく時間をかけ改善を繰り返し作らなければなりません。
組織全体で取り組まなければ実現することは難しいと思います。
また他者評価は自己評価に引っ張られます。対象者のモチベーションを下げないようにするためです。
しかしそれでは公正な評価ができません。
評価者への指導、そしてメンタルケアも必要になってきます。
『評価シート』が完成すれば、次はキャリアアップシステムの構築です。
良い人材が来るには、新入社員が課長やエリアマネージャ―になるにはどうしたらよいのかを明確にする必要があります。
やることは山積みですが、一つ一つクリアし、より良い会社にできるよう頑張っていきましょう。
「まずは人間関係から」と考えられている方、興味があればこちらの記事もどうぞご覧ください。
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最後に、厚労省による介護系人事評価についての資料も載せておきますので、興味のある方はこちらをご覧ください。
それでは、これで終わります。
介護事業所の必須研修
当ブログサイトは主に、介護施設で必要な"必須研修"について発信しています。
下記の表をご覧ください。
それぞれの研修についてブログを作成しています(※作成中の記事あり)
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