こんにちは、すきマッチです。
介護事業所を運営する上で必要な「法定研修」があります。
今回は、このブログでも1番人気の記事
「倫理及び法令遵守に関する研修」「プライバシー保護の取り組みに関する研修」
について2023年最新版を書いていきたいと思います。
普通にやっては読みにくい法令を読み続けるという「地獄」のような研修になります。
これは受ける側もしんどいですが、講師のほうもしんどいことは間違いありません。
しかし、倫理や法令、プライバシー保護はとても重要な研修です。
ですので、少しでもわかりやすく眠たくない研修にする必要があります。
この記事があなたの施設の研修の役に立つと幸いです。
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目次
倫理及び法令遵守に関する研修
前回の記事でも触れていますが、「倫理及び法令遵守に関する研修」についてまず、どういった方向で講義をするかが重要になってきます。
冒頭でも述べましたが、読むだけでは何も起こらないでしょう。
むしろ時間の無駄まであります…
読むことも面白くないし、覚えようとなることも稀でしょう。
という訳で、研修の方向性は「倫理や法令を知ることで何ができるのか、また、なぜ必要なのか」とします。
面白くない研修でも、それを知ることでできることが増える、利用者に対してアプローチが合わるとしたら素敵ですよね。
そんな視点から、面白くなくても興味をもって知ることから始めてもらいたいと思っています。
やってみると意外と面白いかもしれません。
個人的に思っていることですが、「研修」は「学び」の場であると同時に「気づき」の場だと思います。
事業所がスタッフに気付いてほしいことを研修に盛り込むことは、とても有効なことだと感じています。
それでは「倫理や法令を知ることで利用者に提供するサービスがどのように変化するか、倫理や法令を理解する必要性」について順を追って説明します。
いいサービスを提供するためにその根底にあるものが「倫理と法令」であり、倫理と法令なくして事業所運営はできません。
そのあたりを詳しく解説していきます。
利用者に適切なサービスを提供するスタッフの目標・目的を明確にする
まずは研修の趣旨とは少し異なりますが、スタッフに対して、施設としての提供するサービスの目標と目的を明示します。
サービス形態や施設の大事にしている項目を入れるといいと思います。
居宅系のサービス事業所なら
自立支援の援助
その人らしい生活を送ってもらう
利用者のQOL(選択肢の数)の向上
ニーズに合った支援をすることで自己決定の機会を提供する
利用者の権利を守る
など
施設系のサービス事業所なら上記の項目に加えて
QOD(死の質)
ご家族や関係者との連携
長期的に見た日々のケア
日々の支援の基本的な目標や目的を難しく表現すると上記のようになると思います。
利用者に適切なサービスを提供する方法
ここでも、目標・目的を達成するためにどのようにサービスを提供しているかを明示します。
利用者の目標達成への支援・連携
→目標達成にはまず、目標設定が必要なる
→目標とは、利用者の現在の生活と理想とする生活のギャップであり、極めて高い個別性がある
→理想とする生活とは、ADLや周りの環境などICFにのっとって無理のない目標とする
→個別性が高いということはアセスメントが必要になる(ここで重要なアセスメントとは、聞き取りよりも日々のケアや会話からの気づきである)
課題の解消に向けた計画・実施・振り返り・改善・・・(PDCA/介護過程)を繰り返す
→必要なことは「チームワーク」と「根拠に基づいた介護」である
→根拠に基づいた介護とは、なんとなくケアを選択することではなく、「理由のあるケア」「説明のできるケア」をすることである
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適切なサービスを提供するのに必要なこと
あなたの事業所のウリは何ですか?
リハビリがある
お風呂が広い
レクリエーションのバリエーションが多い
イベントが多い
融通が利く
連携が密
など、あなたが働いている施設にはたくさんのウリがあります。
研修を調べるにあたってしっかりとネットで勉強されているあなたのいる施設です。
素晴らしい施設であることは間違いありません。
しかし、適切なサービスを提供するうえで重要なことは他のところにあります。
そして、ウリがある施設はその重要な項目は無意識にクリアできていることでしょう。
今日はそのあたりを「言語化」してわかりやすく解説します。
土台(守るべきもの)
あなたは友人との約束は守りますか?
なぜ約束を守るのですか?
…
いきなり何を言っているんだ、と感じた方もいるかもしれません。
介護保険事業を運営するうえで「倫理と法令を守ること」は友人との約束を守ることと同じぐらい当たり前のことなのです。
いくらいい人でも約束を守れない人は友人が離れていくでしょう。
いくらいいサービスを提供する事業所でもルールを守れなければ運営できません。営業すらできません。
だから「倫理と法令」を理解し、守っていく必要があるのです。
倫理と法令を理解してできること
日々の業務で行う「判断」の基準は何でしょうか?
業務中に利用者からいろいろなお願いや質問をされていると思います。
これはやっていいのかな?
これぐらい大丈夫か。
それに対して、モラル(倫理)やルール(法令)を理解しての「判断」を行っているでしょうか?
考えてみてください。ルールを知らずにサービスを提供することって危険ですよね。
デイサービスで、送迎の帰りに「コンビニで降ろして」と頼まれて、元気な方だし「まぁいいか」と降ろしてしまっては大変です。
「早く帰りたい」と言われて早く帰ったけど「提供時間」を記録しておらず、従来の提供時間利用したことにした。
訪問介護でも「これ買ってきて」とタバコやお酒などを買い物のついでに買ってくる。
など、介護職として働いたことのない人ならついついやってしまいそうなことがルール違反になります。
これらが複雑な制度上で、知らないことがあるということはルールを破る可能性があるということです。
そして、介護保険という保険事業では「知らなかった」では済まされません。
しかし、ルールを知っていると利用者の要望に対して「代替え案」や「説明」ができます。
それができると利用者との信頼関係も良くなるし、あなた自身も楽しくなるでしょう。
モラル(倫理)はどうでしょうか。
モラルと一言で言われても難しいですよね。
モラルは抽象的にとらえることもできてしまうので本当に難しいと感じます。
ここでは、最低限「人として」「介護職として」といった場面で考えてみましょう。
人として、介護職として「認知症の方」にどのように接するといいでしょうか。
忘れてしまうから適当にあしらっておけば大丈夫
赤ちゃんみたいにあやす
これが「モラル違反」ということがわかります。
このような当たり前のルールを「職場」「専門職」として共通の理解をしておくといいでしょう。
事例検討やケア会議などで「ケアの方向性」「それぞれの介護感」を共有しておくことで成熟されていきます。
モラルを守ることでできることは「普通の人」と見てもらえることです。
私自身にも行けるのですが、介護業界には「変わった人」が多いです。笑
その中でも変わっているけど「普通の人」という評価はうれしいものです。
簡単にモラルとルールを解説してみましょう。
モラル(道徳性)
モラルとは、介護施設で言う「接遇」「職場倫理」「専門職倫理」あたりでしょうか。
職場で決められたルールや、専門職としての倫理が「判断基準」となる場面もあります。
モラルは違反しても「犯罪」にはなりませんが、組織の中で「罰則」を受けることがあります。
また、「人間性」を疑われるなど違反してもいいことは一つもありません。
法律・制度(ルール)
介護保険の関係する福祉関係法令
・社会福祉法
・老人保健法
・介護保険法
・障害者総合支援法
・医療法
・医師法
・地域保健法
・虐待防止法
・個人情報保護法
などなど、守らなければならない「ルール」があります。
これらは「知らない」では済ませられず、違反は「犯罪」になり罪に問われることになります。
事業所としても「報酬の返還」「事業の一時休止」「指定の取り消し」など悪質な場合などは社会的な地位を失う事態に陥ります。
倫理と法令以外の判断基準
介護職はモラルとルールのほかに「価値観」で「判断」をしていると言います。
「価値観」とは
「価値観」での判断は、日々の業務の中で一番多くの判断基準になっています。
ここでいう「価値観」とは感情と同じで、状況や気分で変わります。
コップに水が半分は言っているとしましょう。
のどが渇いているあなたは「半分しかない」と感じるでしょう。
のどもおなかも満たされているあなたなら「半分もある」と感じます。
このように利用者との関係やあなたの気分などで変わりうるのが価値観です。
認知症の対応で言えばわかりやすいと思います。
普段は「適切な対応」ができていて感情も揺れないのに、スタッフ自身がしんどい時や気分が沈んでいる時は、「イライラ」したり「ムッと」することがあると思います。
このように「価値観」とは気分等で変わることがあります。ですので、介護のプロとしてメンタルを整えておく必要性があります。
「価値観」にはもう一つの側面があります。
スタッフ自身が利用者に対して適切なサービスを提供することでお互いに「快」の感情を持つことができるのです。
スタッフは利用者に「喜んでもらうこと」で、うれしい気持ちになり気持ちのいい感情が生まれます。
利用者はスタッフに「サービス提供」をしてもらうことで、「ありがとう」という気持ちのいい感情を返すことでうれしい気持ちが生まれます。
お互いが「気持ちいい」を多く持つことで、スタッフは「働く動機」に、利用者は「自立につながる」ことが期待できます。
逆もしかりで、「不快」を提供するとお互いが「不快」になります。
判断基準として多い順は
「価値観」→「モラル」→「ルール」
ですが、
「ルール」→「モラル」→「感情」
の順が守れて、初めて適切なサービスが提供できます。
例えば、実地指導・監査で「違反」が見つかると「ルール違反」です。「罰則」を受け、運営自体が成り立ちません。
介護保険サービスを提供するうえで、クリアして当たり前のルールなのです。
また、専門職としての倫理「モラル」がないと、一般の人がサービスを提供しても「同じ」ということになります。
介護のプロとして「モラル」を守ることが大切になります。
専門職とはプロフェッショナルです。
技術や知識の下に「モラル・ルール・価値観」が土台としてしっかりとあることが必須の条件になります。
長くなりましたが、「倫理及び法令遵守に関する研修」は以上です。
長くなりましたと言っておきながら、かなり短く編集したのでわかりくいところや詳しく知りたいところがあれば、コメント等でご意見を頂ければと思います。
プライバシー保護の取り組みに関する研修
この研修は前回と同じような内容になってしまっていますが、重要なところが明確ですので参考にしてください。
あなたは個人情報とプライバシーの差をご存じでしょうか?
簡単に言うと、個人情報とは「個人に関する情報」と「個人を特定できる情報」を言います。
個人に関する情報とは、住所や名前、生年月日などです。
個人を特定できる情報とは、指紋やDNAなどです。
プライバシーとは「他人に知られたくない情報」になります。
プライバシー保護、介護の現場でよく言われる言葉ですね。
どのような認識をして、業務にあたっているでしょうか。
排泄や入浴の時に外から見えないように配慮していますか?
声掛けや表現に配慮していますか?
年齢や出生地、職業などあなたの基準で「知られたくない情報」を認識していませんか?
プライバシーとは情報よりも普段のケアに保護すべきことがたくさんあります。
ポイントは「あなた自身がどう思うか」「〇〇さんならどう思うか」ということを考えられるかです。
普段からコミュニケーションをとっていれば利用者のプライベートな問題「知られたくない情報」を理解しているはずです。
続いて「守秘義務」について
よく言われる「守秘義務」について認識を確認しましょう。
上司への報告の線引きは?
答えは、「利用者の利益になるか」
情報の共有とは、「利用者の利益になるか」が判断基準です。
当然ですが、共有する相手によって違います。
利用者間の話題作りで利用者の「出身地」や「年齢」を言うスタッフがいます。
これは厳密にいうと「アウト」です。
これって言われた利用者に何も利益はないですよね。出身地や年齢の話がしたければ利用者自らします。
特に、利用者にとって少しでも不利益になる、不快になるような情報・共有する意味のない情報はスタッフから共有すべきではありません。
しかし、スタッフ同士の情報共有という面では「必要」な情報になります。
このように共有する相手によって判断は異なります。わからなければ、上司や専門職に必要かどうかの判断を仰いでも良いでしょう。
これは、対利用者だけでなく、スタッフ同士、スタッフの情報等、業務上知りえたすべての情報に当てはまることです。
Aさんは子供が何人いる。どこに住んでいる。なんて話を自分のいないところでされたくありませんよね。
運営基準について
管理職以外のスタッフで運営基準・施設基準について理解している人が事業所内にいますか?
全てではなくても、人員基準や施設の設備基準など実地指導や監査などで指導や受けやすい項目が提供サービスごとにあります。
勤務しているスタッフの中に、最低限理解している人がいなければなにかあった時に「違反に気付かず」なんてことになるかもしれません。
出来ればスタッフ全員に読んでもらいたいが、資料を渡したところで読まないと思います。
そこで、読み方の「コツ」を伝授します。
運営基準や施設基準を読んでいると眠くなります。書いている内容も回りくどく、あいまいな表現です。
読みなれてくると理解も早くなりますが、しんどいです。
最低限、管理職以外は
「~に努めなければならない」=努力義務
「~しなければならない」=義務
であることを覚えてください。
そして「義務」は必須で覚えるようにします。
これだけでも十分なリスク管理になりますし、運営基準に興味を持つきっかけになると思います。
まとめ
いかがでしたか?
人気の記事をリライトしてみました。
内容的には重複する部分もありますが、それだけ重要な項目であるとご理解ください。
めんどくさい研修ですが、スタッフや施設を守るために「何を知っておかなければならないか」を学ぶ機会になります。
そして、知ることで「できる」ことが増えることを意識してください。
そうすることで知ろうとする、学ぶ動機づけになります。
私自身、何回もこの研修で講師をやりましたが、この記事に沿った内容にしてからはそれなりの手ごたえを感じます。
皆様の法令に関する研修がうまくいくことを応援しています。
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