こんにちは、すきマッチです。
長年この業界で働いていると、いろいろな人と働きます。
時には、
- 同僚にきつく当たり協調性がない人
- 何度も遅刻をする人
- ご利用者に対して不適切ケアを辞めない人
- 指導しても改善しようとしない人など
「辞めてくれないかな」とか「何とか、辞めさせたい」と思ってしまう職員は必ず出てきます。
ただし、安易に行動してしまうと危険です。
解雇/雇い止めについては、労働基準法、労働契約法等で定められたルールを遵守することが必要です。
また、解雇/雇い止め等に関する裁判例も参考にして適切な労務管理を行い、労使間でトラブルにならないようにしましょう。
解雇とは
解雇とは、労働契約を将来に向けて解約する使用者側(会社側)の一方的な意思表示のことです。
労使(労働者 と 使用者) の合意による労働契約の解約や労働契約期間の満了は、解雇には該当しません。
解雇には3種類あります。
解雇の種類:
①整理解雇:企業経営の悪化により、人員整理のために行う解雇
②懲戒解雇:悪質な規律違反や著しい非行があった場合に懲戒処分として行われる解雇
③普通解雇:労働契約の継続が困難な事情があり、やむを得ず行う解雇で①の整理解雇、②の懲戒解雇に該当しないもの
勤務成績が著しく悪く、指導を行っても改善の見込みがないとき
著しく協調性に欠けるため業務に支障を生じさせ、改善の見込みがないとき など
※下記で詳しく説明
解雇の法律上の禁止
一定の場合には、解雇が法律上禁止されています。
それは、
- 業務上の傷病により休業する期間、及びその後3日間の解雇
- 産前産後の休業期間及びその後30日間解雇
です。
また解雇には少なくとも30日前に予告が必要です。
予告を行わない場合には、平均賃金の30日分以上の解雇予告手当の支払いが必要になります。
解雇予告期間が30日未満の場合は不足日数分の解雇予告手当を支払う必要があります。
そしてそれを就業規則等に明記が必要です。
就業規則などで解雇の事由を明確に定めておく必要があります。
また、使用者側は労働者と労働契約を結ぶとき、解雇について明示する必要があります。
有期労働契約の雇止め
使用者は、有期労働契約を更新しない場合には、あらかじめ更新しないことが明示されている場合でない限り、
少なくとも契約期間が満了する30日前までに更新しない( 雇止めをする) ことを予告しなければなりません(労働基準法第14条第2項)。
有期労働契約の終了時のトラブル防止のための、使用者が講ずべき措置について「有期労働契約の締結、更新及び雇い止めに関する基準」が定められています。
雇い止めの予告が必要な場合は下記の3つです。
- 契約を3回以上更新している場合
- 1年以下の契約期間の労働契約が更新されて、最初の契約から連続して通算して1年を超える場合
- 1年を超える契約期間の労働契約を締結している場合
使用者は、雇止めの予告後に労働者が雇い止めの理由について証明書を請求した場合は、遅滞なく交付しなければなりません。
雇止めの法理を確認します。
有期労働契約であっても、有期労働契約の反復更新により無期労働契約と実質的に異ならない状態であるもの、または有期労働契約の期間満了後の雇用継続について、合理的期待が認められるものについては、 雇止めが客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められない場合は、雇止めが認められず「同一労働条件で労働契約が更新•締結されたもの」とみなされます。(労働契約法第19条)
合理的理由がないと判断される要素は下記の5つです。
- 国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇
- 労働者が労働基準監督署へ申告したことを理由とする解雇
- 労働組合の組合員であること労働組合の正当な行為をしたこと等を理由とする解雇
- 性別を理由とした解雇
- 女性労働者が婚姻、妊娠、出産したこと、産前産後休業をしたことを理由とする解雇
普通解雇を考える上ですべきこと
「解雇権濫用法理」とうものがあり、解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を乱用したものとして無効になります。
よって、記録が必要になります。
ポイント
- どのような業務態度でそれに対しどのような指導をしたか
- 相手の反応
- 日時、場所、天候
- その後の変化
- 同じ内容の指導を何回しているか
- このままでは働けない旨を伝えているか
- 始末書等の有無
これらを書類として、もしくは録音して保管しておき、合理性がある解雇であることを証明する必要があります。
解雇は簡単には出来ないという認識を持っておくべきです。
人を雇用するという事は非常に重い責任が企業様に課されますので、法律において、解雇については厳しい制限が設けられています。
「無断欠勤したのだから解雇だ!」と考えてしまいますが、解雇に該当するかは、様々な要素から判断されるため、一概にそれだけで解雇できるわけではありません。
あくまで最終的には「社会一般的に解雇に該当するかどうか」が問われるので、例え会社の就業規則等で解雇の要件を規定していたとしても、解雇に該当しないと判断されてしまったら、解雇には該当しない事になります。
「不当解雇だ!」と解雇した社員から訴訟を起こされて、多額の賠償金を支払わなければならなくなったケースもあります。
そうならない為にも重要なのは、就業規則等でこういった場合には「解雇しますよ」としっかりと規定し、その内容をしっかりと社員に告知します。
そしてまずは「始末書」等を提出させ、それでも改心しなければ減給や降格等(就業規則等に規定)を実施します。
それでもまだ改心しなければ勤務数の削減や時間短縮をします。
そして最終的に「解雇せざるを得ない」というプロセスをしっかり作る事が非常に重要です。
おわりに
解雇や雇止めをめぐるトラブルは事業所にとって大きな問題です。
トラブルを防止するため\ には、法令のルールの遵守はもちろん、労使間で充分な話合いを行うことや信頼関係を損なうような方法を避けることが重要です。
裁判例では解雇が「権利濫用の法理」により、また 雇止めが「雇止めの法理」等により認められなかった事案もあります。
解雇や雇止めを検討しなければならない場合には、ぜひ、労働基準監督者や労務管理の専門家に相談しましょう。
いかがだったでしょうか。
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