こんにちは、すきマッチです。
今回は、「改定長谷川式認知症スケール」の解釈の方法について解説したいと思います。
あなたは、長谷川式をご存じですか?
長谷川式は、20点を超えるか超えないかのみで判断してしまうのは非常にもったいないです。
項目ごとの解釈を理解すると、テストを受けた人の残存機能と障害機能を判断することができます。
是非、明日からのケアに取り入れてください。
読む前に是非!記憶についての記事です
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長谷川式認知症スケール(評価用紙付き)
認知症のテストとして「長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)」が挙げられます。
10~15分ぐらいで実施することができる上、専門的な知識や技術は必要がありません。
最も普及している認知症テストです。
長谷川式についての記事はコチラ
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HDS-Rの項目別の解釈
冒頭でも述べましたが、HDS-Rを20点以下か以上かのみで判断することは非常にもったいない事です。
私の施設でも「はせがわ、何点」「意外と高いな~、低いな~」なんて会話が聞こえてくることもあります。せっかく評価したのにもったいないですよね。
HDS-Rは項目別に評価をする機能が違います。それをよく知ることで、より細かく認知機能の状態を知ることができます。
つまり、項目別の評価の意味を知ることでご利用者の状態が見えてきます。
残存機能と障害機能が分かるのです。
残存機能と障害機能を知ることは、残存機能は活かして伸ばす、障害機能は代替え案で負担を減らすなど、ご利用者に合わせた対応が可能になります。
1. お年はおいくつですか?
見当識の評価を行っています。
わたしたちは自分の年齢を忘れることはありませんよね。2年までの誤差はOKです。
年齢を大きく間違えることは見当識の低下の可能性があると言えます。
見当識の低下は、自分への関心が低くなってきていることを指します。
認知症初期に自分や社会への関心の低下が見られます。注意が必要です。
見当識・・・自分の置かれた状況を把握する能力
2. 今日は何年、何月、何日ですか?何曜日ですか?
日時に関する見当識の評価を行っています。
日時の把握は、日常生活で必須の項目です。
日時の見当識障害が起こると、約束の時間を間違えるような日常生活での不具合が多くなります。
日時の見当識障害が起こっているということは、社会とのつながりが希薄になり、社会に関心がない状態になっている可能性があります。
3. わたしたちが今いるところはどこですか?
場所の見当識の評価を行っています。
場所の見当識障害が見られる場合は、年齢や日時の見当識障害と比べて、認知症の症状がより進行している可能性が考えられます。
より、社会や周囲との関係性が希薄になり、関心を持てない状態になっている可能性が考えられます。
見当識障害は認知症の症状の中で、記憶障害に次いで多い症状です。
認知症の初期段階から出現する症状で、認知症の兆候を発見する重要な要素です。
4. これから言う3つの言葉を言ってみてください。あとでまた聞きますのでよく覚えておいてください。
短期記憶の評価を行っています。特に言語性の即時記憶です。
わたしたちは、コミュニケーションをとる時に言語性の即時記憶を使用しています。
聞かれたことに答える時に、質問内容を頭に留めたまま答えを探すことができます。
短期記憶障害が起こると、言動のつじつまが合わなかったり、取り繕うようなことが増えてきます。
短期記憶とは、数秒前から数分前のごく短い時間での記憶を保持する能力です。長期記憶に比べると、認知症で障害が出やすくなります。
5. 100から7を順番に引いてください
ワーキングメモリの評価を行っています。
ワーキングメモリに障害が起こると、効率のいい動きができなくなります。
特に「それから7を引くと」という質問が重要です。
100-7の答えを頭でキープしながら、「7」を引くという作業をしなければなりません。
結果として障害が見えやすい問いになります。
専門的な用語で言うと、前頭前野を中心に行われる高度な情報処理能力を行う機能です。
自分の置かれている状況や周りの状況を理解して、自分がなにをするか、どの処理を優先で行うかなどを瞬時に判断・実施する能力になります。
自分の注意力の配分をする能力です。
ワーキングメモリが衰えているということは、効率的に日常生活を送れていないことが考えられます。
例えば、洗濯をしながら部屋の掃除をしていると洗濯したことを忘れてしまう。といったイメージです。
料理の煮物を焦がしたりすることも多くなります。
6.わたしがこれから言う数字を逆からいって下さい
「数字の逆唱」は、短期記憶とワーキングメモリの評価をしています。
逆から言うために、一度頭で覚えてひっくり返すというかなり複雑な能力が必要になります。
5.の計算とは違った視点でのワーキングメモリの評価です。
7.先ほど覚えてもらった言葉をもう一度言ってみて下さい。
認知症の方が影響の出やすい遅延再生、数分前の近時記憶の評価になります。
日常生活で欠かせない能力で、コミュニケーションに問題がないのに、約束やちょっと前のことを忘れている。というようなことが起こります。
4で即時記憶と7.で近時記憶の評価を行っています。
ヒントを与えての正解は、cue再生効果を確認しています。
cue再生効果とは、記憶の保持と取り出しの取り出しの部分の機能を確認しています。
ちなみに、記憶は側頭葉、取り出しは前頭葉で行われています。
つまり、ヒントを与えて正解するということは、記憶(側頭葉)には問題がないが、取り出し(前頭葉)に障害がある可能性があります。
cue再生効果で正解が確認できた場合は、日常生活でもヒントやきっかけを与えることで解決できることがあります。
メモやアラームなど、きっかけを考えてアプローチしてみましょう。
8.これから5つの品物を見せます。それを隠しますので何があったか言って下さい。
視覚性記憶能力の即時、近時記憶の評価を行っています。
ここまでの項目が言語性や聴覚性であったのに対して、「視覚性」の評価になります。
人は8割以上を視覚から情報を得ていると言われています。視覚性記憶の障害は日常生活に大きな影響を与えるといえるでしょう。
同じ記憶障害でも、視覚性と言語性の障害に差がある可能性があります。
障害の少ないほうの記憶機能を活かすといいでしょう。
9.知っている野菜の名前をできるだけ多く言って下さい。
記憶された言葉を取り出す前頭葉の機能の評価を行っています。
注意していただきたいのは、覚えていても言葉がでにくいこともあり、cue再生効果で成績が急上昇するなら取り出し機能にのみ障害がある可能性があります。
前頭葉機能に障害がある場合は、意識障害・見当識障害・注意障害。感情の障害などの症状が現れることがあります。
HDS-Rの注意点
・いくら点数が低くても、認知症の診断は行ってはいけません。診断は医師しかできません。
・相手によってはバカにされたなど、感情を損ねる可能性があるため、しっかりと説明を行って実施する。
・聴覚や視力、失語症などコミュニケーションに障害のある方は正確な判定はできません。
・テスト中は、答えや結果に対して反応せず同じ対応をしましょう。
・テストは何度か練習をして正しい方法で判定を行ってください。
※5つの品物は関連のないもの、100から7を引く「それから」7を引くと、と聞くなど。
まとめ
いかがだったでしょうか。
HDS-Rには、ちゃんとした解釈の仕方があり、それらを理解することでテストでの結果をケアに活かすことができます。
テストして終わりではもったい!
是非、明日からのケアに活かしてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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